23話 赤い悪夢と紫の機関銃
青ダークカオスの剣は、レッドメアの一刀両断により真っ二つに壊れた。そして、無防備になった所を手刀で気絶させる。
「次ぃ!」
レッドメアは、同じ事をして白ヒーローカオスを気絶させた。
「はい。俺の勝ち。解除」
白い線は消え、残りの二人のチャオが前に出てくる。その直後、レッドメアが入ってきたドアが開いた。そのドアを開けた者はレッドメアの横に走ってきて止まる。
「お前は…、名前しらねぇや」
「名乗りたくないからな。グレープソーダだ。まぁ、紫の機関銃と呼ばれている」
この基地に入ってから聞こえてきた足音。それは紫のライトカオス、グレープソーダの足音だったのだ。
「ったく。俺一人で三人相手か」
「いや。今回は上から命令があってな。こいつらを倒すのが仕事だ」
と、四天王の二人を指さす。
「こいつらはすぐ倒されたようだが、俺達はこれほど弱くはない。覚悟しろ」
と、アクアマリンのライトカオスが大剣を取り出しながら言う。同時にガーネットのライトカオスも大剣を取り出す。
「覚悟するのはお前らだよ。バトルフィールド!」
白い線で作られたフィールドは、さきほどより広かった。レッドメアが、グレープソーダに簡単に説明し終わると、全員が戦闘態勢になった。
「エネルギークラッシュ!」
最初に攻撃をしたのはレッドメアだった。グレープソーダに説明している間に魔法エネルギーを溜めていたのですぐに放つことができた。
「グッ!?威力を弱めてもこんなにダメージが!?」
「お前の防御魔法が弱い。と言いたいところだが、こっちも相当なダメージだな」
両方とも魔法防御の魔法を使ったが、それでもかなりのダメージを与えたようだ。
「でりゃあ!!」
そこに、グレープソーダが斬りかかってくる。しかも、横に剣を振ったので両方とも避けなければいけなかった。相手に休ませる暇を与えないように、また、相手が避けることしかできないように大剣を振り続ける。
「避けるのにも慣れてくるな…」
そうアクアマリンのライトカオスが呟いた直後、彼の真横からレッドメアが斬りかかってきた。さらに、グレープソーダはレッドメアが狙っていない方のカオスチャオを狙った。
「お前ら、キャプチャーっつーもんは知っているだろ?」
レッドメアが突然言う。三人は、その突然の質問に多少驚いた。
「ハッ。当然だろ。小動物の能力を自分の力にすることができるチャオ特有の能力だ」
「そう。そのキャプチャーを、小動物以外のモノを対象とし、それを放つ。それが俺の技だ」
そう言って、両手を横や上下に素早く振り出した。まるで、何かを描いているように。
「紫の機関銃さんよ。痛い目に遭いたくなかったら、あの石を持っておくことだな」
「ほぅ。わかった」
と、グレープソーダは石を取り出し、握る。すると、石から出てくるオーラが彼を包んだ。
「――風斬(フウザン)――」
レッドメアが両手を挙げ、技名を言う。すると、強い「風」が発生した。
「グオォォォォ!?」
瞬く間に、アクアマリンとガーネットのライトカオスは倒れた。彼らの体には、何かに斬られた跡がある。
「何をした?」
グレープソーダがレッドメアに訊く。彼も、少量の切り傷があった。
「風に魔法エネルギーを含ませ、キャプチャーした。俺はそれ放っただけで、あとは魔法エネルギーが勝手に斬ってくる。そんだけだ」
「くっそぉぉぉぉ!!」
少年は鞘から剣を引き抜き、構える。
「お前が俺の相手をするにはまだ早いぞ?」
「うるさぁぁぁい!!」
少年は剣をレッドメアに向けて振り下ろした。