18話 デルデエイト
とある組織 18話 デルデエイト
「ちょっとすまんが…このプログラムを使用してくれんか?」
「あ、はい」
と、デルデムスが取り出したフロッピーディスクをコンピュータに入れる。
「ちょっと、やっていいかな?」
「あ…はい」
と、そのチャオは立ち上がり、席を譲る。デルデムスはすまんなと言って座る。
「この地点に転送できるかい?」
と、光っている点を指さし訊く。彼は頷いた。
「じゃあ、転送先に設定してくれ」
と言ってデルデムスは立ち去る。
闘技場前。それが彼らの転送先だった。
「レッドメア。お前は、カオスチャオしか入れない穴の中に入ってもらう」
「ほう…どこにあるんだ?」
「あそこの、1カ所だけ木が集まっている場所のどこかにある。そこにはカオスチャオしか入れない仕組みの穴があるんだ」
デルデムスは、簡単に説明をした。
「ふむ…わかった。お前達はどうするんだ?」
「俺達は…あの闘技場にいるやつを…な」
デルデムスは曖昧に答え、ヒットと闘技場の中に入っていく。
「あの木の集まっている所か…」
チャオレース。敵を倒そうが、乱戦から抜け出してゴールへ向かってもよし。なんでもありのルールだ。そこに二人はエントリーする。予想通り、右手が五本指のチャオがいた。左手はなぜか隠している。
「デッデルデムス…」
「久しぶりだな。ID:デルデエイト」
「ふんっ…見てろよ…俺の強さを思い知らせてやる」
そう言い、彼は目を瞑って集中する。デルデムスは、ヒソヒソとヒットに何か伝える。
スタートの合図と同時にデルデムスとヒットは後方に飛び退く。なぜなら、五本指のチャオは前方広範囲に魔法を放つからだ。デルデムスの予想通り、彼は前方広範囲の魔法を放つ。五本の指から出る細いレーザーで攻撃するのだ。
「やはり、お前らは残ったか」
三人以外のレースに参加したチャオが倒れ、彼は振り向いて言った。彼の目はデルデムスを睨んでいる。
「降参はさせないぞ?もうレースは始まっているからな」
「誰がするか…俺はな。俺のクローンとおさらばしたんだよ」
と言い、左手を出す。そう、左手も五本指になっていたのだ。
「まさか…あいつを?」
「あぁ。あの頃の技術は能力まで完全に再現できなかったからな。倒すのに時間はかからなかった」
デルデムスはギャラクシーのことを思い出す。なぜならば、ギャラクシーは両足を付けている。つまり、倒すのは二人で済むのだ。
「ヒット。問題はないと思うが気を付けろ」
「OKOK♪任せてー♪」
「そんなこと言ってられないぜ?」
両手から巨大な火を乱射し始める。デルデムスは彼の周囲を走り、ヒットは飛び回って回避する。
「前より魔法の使い勝手がいいや♪」
ヒットは、飛行能力が上がる魔法を自分にかけ、スピードアップする。ヒットは、デルデエイトの周囲を飛び回りながら炎を放つ。
「そんな炎…当たるとでも?」
デルデエイトも負けずに走行能力が上がる魔法で炎を避けていく。
「解除」
しかし、デルデエイトの背後から魔法の刃が出ている剣を持ったデルデムスがデルデエイトの腕に攻撃する。
「なにっ!?」
なんと、斬られた方の手は元に戻り、五本の指がある手は地面に落ちていた。