16話 機械が潜む穴
とある組織 16話 機械が潜む穴
「結局、何も取れなかったな」
「取り忘れた…だな」
デルデムスがレッドメアを睨み、言う。
「一度基地に戻るか…」
「わーい!本当っ!?実は忘れ物があるんだよね…」
「うむ。転送装置付き無線は便利だな…小型転送装置忘れてきたが、セーフだな」
「まさか、お前も忘れ物があったとは…見損なったぞ」
「…で。リーダーはどこだ?」
「さぁ…」
「受付で訊いてきたよん♪」
ヒットが自慢気に言う。レッドメアはヒットの羽を掴んだ。
「どこだ?」
「イダダダダ!ええ~っと、ここの一番下のフロアだってさ…」
レッドメアは、それを聞くとヒットを投げ捨てエレベータに向かう。
「どああぁぁぁ!待ったぁぁっ!!」
閉まったドアを破壊してヒットはエレベータの中に入る。
「超高速エレベータで2分…どんだけ深いとこにあんだか」
「ヨクキタナ…レッドメア」
機械から発せられる声。レッドメア達は天井が見えない上を見る。上から声がするからだ。
「ゴクロウデアッタ。ダガ、キサマラハモウイラナイ」
「何の事だ…?」
「もしや…リーダー…」
機械の音声で誰の声かもわからない。だが、内容からしてリーダーであることは確実だ。
「ワレノモクテキハ…コノタメダッ!!」
その瞬間、金色のナイツチャオの形をした機械が振ってきた。その機械はチャオの数十倍の大きさで、少し黒い。
「まさか…あれを!?」
「ソウ。オマエガマエニダシタチャオノタマシイダ」
「何だ?それ?」
レッドメアが訊く。デルデムスは
「前のレプリカの件だ。あの時、魔法が使えるチャオの魂が出た。それを利用した姿があれだ」
「ソウ、チャオノママデハタマシイハハイラナイ。ダカラ、ワザワザキカイニナッタノダ」
「やるぞ…レッドメア、ヒット」
「えぇ!?リーダーを!?」
「逃げる方法はない。エレベータに乗っても破壊されるのがオチだ」
デルデムスは、そう言いながら刀を取り出す。デルデムスの左目は、機械の動力源を探る。
「ムダナコトダ」
機械の両手から爪が出てくる。機械の爪を使った攻撃はヒットを狙っていた。
「エネルギークローッ!!」
「「!!?」」
ヒットは確かにそう言った。スマッシュが消滅した原因、魔法エネルギーの暴走を起こそうとヒットはした。
「グァァァ!!」
ヒットを攻撃しようとした右腕は消滅した。ヒットのまわりには青い光がたくさん出てきた。
「何…魔法エネルギーが正常だとっ…!?」
魔法エネルギーは正常。それは、ヒットが確実に消滅しないことを表す。ヒット本人も正常のようだ。
「レッドメア。お前も安全な今のうちにやっとけ」
「え…?あ…あぁ。エネルギー…レッド」
ヒットと同様にレッドメアのまわりにも青い光が出る。
「ムダダ…ワレニハカテナイ」
消滅したはずの右腕が復活した。状況は最初と変わらない。変わったとすれば、ヒットとレッドメアの魔力が上がっていることだけだ。