11話 荒稼ぎする者
とある組織 11話 荒稼ぎする者
「ちくしょう…あいつが逃げたら情報はもう無いのと同じだ…」
「うひゃー。もう夜だよ。寝よう寝よう」
「ふむ…もうそんなにたつのか?」
レッドメアがスマッシュに訊くが、暗いので夜だとわかる。
「さて…お前らも散々見ている通り、一部のチャオは魔法を使える。実は、魔法を使えるようにする方法がある」
レッドメアが、スマッシュとヒットを見て言う。
「拙者は、レッドメア殿のためなら何でもする!ぜひ、魔法を使えるようにしていただきたい!」
「いつの時代だよ…」
と、ヒットの台詞に呆れながらもレッドメアは頷く。立って寝ているわけではない。
「魔法を早く教えてくださらぬか!切腹してでも教えていただきたい!!」
「おいっ!やめろっ!生きてないと教えられねぇ!!」
「ふむ…そうでござるか。拙者としたことが…」
「使えるようにしてやるから、その喋り方やめろよ…」
と、レッドメアは目を閉じ、手を二人の目の前に出す。それは数秒で終わった。
「ふぅ…終わったぞ…」
「本当に使えるようになってんのぉ~?」
「マッチ程度の火は出せる」
レッドメアが、マッチ程度の火を出してみせる。これくらいだ。と言いたいらしい。
「あ~出た出た。本当だー。便利だなぁ」
「スマッシュは?…ん?」
スマッシュは寝ている。ヒットは出た炎でスマッシュを燃やそうとしている。
「あぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢっ!!」
「起きた起きた」
スマッシュも魔法が使えるようになったことを確認した後、基地からの情報だけを頼りに、闘技場へと向かう。
「ちぃ…能力を利用して金を荒稼ぎってわけかっ!!」
デルデムスが少々荒い口調で言う。闘技場には、4種類の競技がある。1つ目はなんでもありのチャオレース。2つ目は通常のチャオカラテ。3つ目はチャオカラテの武器可版。4つ目はそれの2VS2版となる。全て、優勝すると賞金がもらえる。
「おそらく、通常のチャオカラテには出られないはずだ。つまり、それ以外の全てに同時参加する」
「ってことは?」
「レースはスマッシュ。一人は俺。二人のはレッドメアとヒット」
「へぇ…俺がこの馬鹿と?」
「わーい。レッドメアとだー」
「不安なのはわかるが…」
スマッシュは、デルデムスが言った時間に開催されるレースに登録した。コースは8コース。つまり最後に登録したことになる。
「あ…!」
スタート地点に並んだとき、スマッシュは驚いた。右手に五本の指があるチャオがいるのだ。
「君、寝ている場合じゃないよ。気を付けないと」
と、隣にいる寝ているチャオに話しかけるとそのチャオは迷惑そうに
「うるさい。俺はチャクロンの子孫なのだ。俺はこのやり方以外はやらないのさ…」
と言う。どうやらしばらく寝てから走り出すというやり方のようだ。スタートの合図と同時にチャオ達が一斉に走り出す。
「俺に勝てるチャオはいないぜっ!!」
と、5コース。つまり右手に五本の指があるチャオの隣。そこのソニックチャオが2位との差を大きく開き1位。
「うおっ!?」
ソニックチャオを抜かしたのは、例のチャオ。どうやらスタート前に足が速くなる魔法をかけていたようだ。
「さらば」
そのチャオは、右手から7コース分の太さがある炎を出した。当たらないのは1、2コースのチャオ。
「炎…!!」