9話 本物のある場所

「もう1週間たつけど、廃墟に野宿しているだけじゃん…」
ヒットが不満そうに言う。スマッシュも頷いている。

「まだ、手がかりが全くといっていいほどないからな」 「廃墟に野宿ではなく、チャオガーデンに無料で宿泊だ」
レッドメアとデルデムスが同時に違う台詞を言う。

「もっとさぁ、こう…闘技場とかで勝つともらえるとかないの?」
「全ての闘技場の賞品をそこの機械で調べたが、そんなことはない」
「そう上手くはいかないということだ」

「むぅ…僕達の経験が役にあんまたってないじゃんか」
「経験と言ってもTVゲームだろ?そんな都合良くはいかないんだ」
「奇跡的に杖が一致しただけだな」

「そういうもんかなぁ…」
「実際、デカポンだってそんな展開を期待してたから負けたんだ」
「そういうやつは逆にその展開にさせて罠にはめるのさ…ククク」
罠というのは、城型のダミー基地を造り、そこに自爆装置を付けてRPG風のように上手くいくと思わせることだろう。実際にやったことだから妙に説得力があった。

「とにかく連絡待ちだ…」
「こういう時に通信機がなって情報が…」
「来ないな」
レッドメアの予想通り、情報はこないままこの日は終わった。

「でやぁぁぁ!」
レッドメアとデルデムスは決闘をしている。二人とも手加減はしていない。最後の一手は寸止めだが。

「大剣の遅い攻撃が俺にくらうとでも?」
レッドメアの大剣は重いので、速度が普通の剣よりも遅くなる。デルデムスはその大剣より軽い刀を持っていたので避けるのは楽だった。

「奥義―炎園!!」
デルデムスがレッドメアの足下に向かって連続で突きをする。レッドメアは当然ジャンプをして避ける。しかし、デルデムスはこれを狙っていた。

「奥義―吹雪乱」
デルデムスは、レッドメアと同じ高さまでジャンプし、高速で3回刀を振る。レッドメアは大剣でそれを防ぐが、バランスを崩す。

「奥義―侵入剣」
デルデムスがバランスを崩したレッドメアに急接近する。そして刀を突き刺そうとした(勿論寸止めをするつもりだが)瞬間…
「消えたっ…?」
「瞬間移動だ」
デルデムスの背後にレッドメアが現れる。この技の説明は後にレッドメアがすることになる。

「お前には真似できない究極の技を見せてやろう」
「ふむ…」
「覚悟…」
レッドメアがそう言った瞬間、レッドメアは消えた。

「瞬間移動の連発かっ…!」
途切れ途切れにレッドメアの姿が一瞬だけ見える。しかし、パターンがよめないデルデムスは立ち止まっていた。

「!!」
色々な所から小さな赤い物体が出てくる。エネルギークリムゾンを瞬間移動中にやっているのだろう。

「これはお前じゃ真似できまい」
デルデムスの背後から声が聞こえた。振り向くと、一刀両断の構えをしているレッドメアがいた。

「それ以前に瞬間移動とエネルギークリムゾンができねぇよ」
決闘は終わった。周囲に異変はなく、ただ他の二人が寝ているだけだった。基地からの連絡はない。連絡がとれないだけかもしれないが。

「ったく…遅いにもほどがある…」
「こっちからやってみるか」
レッドメアは、通信機を取り出した。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第109号
ページ番号
25 / 50
この作品について
タイトル
とある組織
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第97号
最終掲載
週刊チャオ第127号
連載期間
約6ヵ月30日