【stage2】
その黒いローブをまとった人物、いや、身体の大きさからして人間ではないだろう。
どこか見た事のある大きさであった。
レイルはその姿を見てハッとした。その瞬間サウダーの近くにいたおいしそうに木の実を食べる子供のチャオを見て「やはり」とでも言うように静かに頷いた。
「君…チャオ…だよね?」
レイルは小さな声で黒いローブをまとった生物に聞いた。
そう、チャオと同じ体つきであったのだ。
「…チャオ…?」
サウダーも無意識に口にしていた。
体つきはもちろんチャオだが、感じる気配がとてもチャオとは思えなかった。
強く人の臭いがするのだ。
「おっと…なりきり成功か。少し戸惑ってるみたいだけど。」
黒いローブを投げ捨て独り言のように喋りだした。
そのチャオの体は黒く、頭に赤いラインが入っている。
わかりやすく言えば、俗にいう「シャドウチャオ」にすごく似ていた。
もちろんサウダー達はチャオの声を聞いて目を丸くした。
「チャ…チャオが喋った…?」
「オモチャオなら話した事あるが…喋るチャオなんて初めて見たよ…。」
サウダーもレイルも口をポカンと開けている。
サウダーの足元には子供のチャオが擦り寄ってきており構ってくれ、とでも言うように足にしがみついていた。
「ハハ。チャオなのは間違いないけど、中身が違うんだよ。」
「…は?」
マイペースに、陽気に喋る黒いチャオの言葉はあまりまともに耳に入らなかった。
「中身が違う…てどういうことなんだ?」
…レイルは冷静でいたみたいだが。
そのまま黒いチャオは続ける。
「んーとね。まぁとりあえず君たちの名前を教えてくれるかな?」
初めまして、とニコリと笑うチャオ。完全に相手のペースに巻き込まれた。
「あ、えと…俺はサウダー…なんだけど…。」
「いつまでも唖然としすぎだよサウダー。世界は広いんだ。こういうチャオに出会ってもおかしくないんじゃないのか?
…と、僕の名前はレイルだ。自称メカマニアだ。」
冷静にスラスラと続けるレイル。サウダーはまだ口をポカンと開けている。
「サウダーにレイル…か。よろしくね。で、僕はクレイジー。皆にはクレイって呼ばれてるよ。」
クレイはサウダーの足に擦り寄るチャオにもニコッと微笑みかけた。
「まぁ誤解してほしくないから簡単に言っちゃうけど、このチャオの姿はきぐるみなんだ。僕は別のクレイジーさ。」
「はぁ?」
「サウダー。君は気持ちを落ち着かせてろ。」
首を傾げるサウダーにサラッと言い放った。
「て事は今君はきぐるみを着ているって事か。
本当にそうならすごいきぐるみがあるもんだね。聞いた事ないよ。」
半ば信じていないような様子のレイル。
腕を組み偉そうにしている。
「んー。最近みつかったものだし…僕もよく知らないんだよ…。」
「とても信じられないね。どうやったら言語を使う程の生物がこんな小さなきぐるみに入れるんだい?」
首を傾げてジロジロとクレイを見るサウダーを背に話は続く。