~第2話~
THE FIRST ADVENTURE(ザ・ファースト・アドベンチャー)
~チャオはどこからやってきた?~
【レーテ】「あ!海だ!!」
【ラケルタ】「出発して3日、ようやく海か・・・」
【バイス】「ここからしばらくは、海沿いを伝っていくことになります。」
しかし、見えるのは崖。
【ラケルタ】「ひょっとして・・・ここを、か?」
【バイス】「ええ。それとも、ゴツゴツの山道にします?」
【レーテ】「・・・いずれにしろ、飛ばなきゃいけないのね。」
【バイス】「いいえ、こちらなら、泳ぐという選択肢もありますよ。
もっとも、僕は飛ぶのが苦手なのでこっちにしたんですけど。」
結局、海沿いの崖を行く事にした。
バイスだけ泳ぎ、後の2匹は空を飛ぶ。
【レーテ】「まぁ、こっちならライオンも来ないだろうし。」
【バイス】「ライオン・・・何でキャプチャできたんでしょう・・・」
【ラケルタ】「ライオンはキャプチャできないはずだもんなぁ・・・」
3日前の「事件」が未だに気にかかるようである。
【レーテ】「ま、それはパパの研究所の方に任せておきましょ。」
【ラケルタ】「確かに、ここで考えても無意味だし。」
夜は岩陰で寝る。
仕度を整えたら、研究所との通信を開く。
毎晩、研究所と連絡して状況を報告するのが決まりになっていた。
【バイス】「博士、僕です。」
【ミシュラ】『おお、バイス君か。今日はどうだった?』
【バイス】「ようやく草原を抜けて、今は海沿いを伝って行ってます。」
【ミシュラ】『あそこは崖になってるからなぁ。大丈夫かい?』
【バイス】「ええ、飛んだり泳いだりしてます。
・・・そういえば博士、ライオンの件なんですが、どうです?」
【ミシュラ】『ああ、その話だが、ちょっと長くなるけどいいか?』
【バイス】「ええ。」
ミシュラの説明は大体以下の通りである。
キャプチャできるか否かというのは、その動物に特定の遺伝子配列があるかどうかで決まる。
それは進化の過程で現れたり消えたりするので、どの動物に出てくるかというのは一概には言えない。
(どの動物にも、キャプチャできる可能性がある。遺伝子を調べるまで分からない)
そして、ライオン。
現在のライオンにその配列はないが、昔の絵画などを見るとライオンをキャプチャしたと思われる姿のチャオが数匹おり、また数百年前のライオンの骨からとった遺伝子を見たところその配列が見つかることから、キャプチャ可能であろうという事である。
【ミシュラ】『・・・問題はなぜ今のライオンにその配列が無いかだが、それは今後の課題だ。』
【バイス】「なるほど。それじゃ、今日は寝ますね。」
【ミシュラ】『ああ、おやすみ。』
翌日。
【ラケルタ】「・・・やっぱりこの崖も長いのか?」
【バイス】「でしょうね。恐らく、ミスティックルーイン入り口まで続くかと。」
と、その時。
【レーテ】「きゃあああ!あ、あれ!!」
【ラケルタ】「な、何だ・・・!!!!」
何と、バイスの後ろに、あのよくある「ヒレ」が。
【ラケルタ】「ば、バイス!!後、気をつけろ!!!」
【バイス】「な、何ですか?」
と、後を振り返る。
すると、
【バイス】「うわああああっ!!!」
例の「ヒレ」である。
慌てて逃げるが、そのヒレもぴったり後をついてくる。
【バイス】「な、何とかしてよぉっ!」
【レーテ】「そう言われても、こっちだって恐くて近づけないわよ!」
【ラケルタ】「・・・そうだ!ちょっと待ってろ!!」
待ってたら食われる。
【バイス】「早くっ!」
必死で逃げるバイス。
【ラケルタ】「これにつかまれぇっ!」
ラケルタは崖から木の枝を折り、バイスに差し出した。
【バイス】「あ、ああ!」
それをしっかりつかまえると、ラケルタは空高く飛び上がった。
ピンチ脱出である。
【バイス】「はあ、はあ・・・何で僕だけ毎回毎回・・・」
と、その時。
【レーテ】「あ、あれ!!」
レーテに言われて2匹が振り返ると、そこには・・・・
【ラケルタ】「ひょ、ひょっとしてあれ・・・」
【バイス】「・・・い、イルカ!!??」
そう、3匹はイルカとサメを勘違いしていたのだ。
【レーテ】「・・・はぁ・・・・」
【バイス】「心臓に悪すぎです・・・」
【ラケルタ】「なんか、一気に力が抜けた・・・」
と、バイスが捕まってる木の枝を離してしまった。
当然、海へまっさかさま。
【バイス】「わあああぁぁぁぁ・・・・」
【ラケルタ】「あ。」
ドボーン・・・
続く