最終話の続きその2
「シャドウよ。よく来てくれた! 早くソニックを連れて行けっ!即刻処刑してもかまわん!」
シャドウが右手を静かにあげると、側近の親衛隊達がサラビカを押さえつけた。
「なっ!!何をするのだ!?ま、まさか、・・・裏切ったなっ!!シャドウ!!」
「これは異なことを。はじめに俺を騙したのはそちらだろう。きさまははじめからマリア・・母君を自由にしてやる気などないのだ。」
「サラビカっ!観念するんじゃ!!」
そう言って杖をついて現れたのは、アラビカだった。アラビカはサラビカの額に杖の先のルビー色の石を押しあてた。
「や、やめろっ。やめてくれっ。アラビカ・・。わ、わしがいなければ麻奈をもとにもどせんぞ!!や、やめ・・・」
赤い光が石から燦然とはなたれた。サラビカはみるみる黒い石になっていく。
「こやつも昔は心の清らかな立派なヒーローチャオの法師じゃった。二人でマリア様の予言された石版を静かに守っておった。思えば予言どおりに世界の破滅とあの麻奈様の卵が現れた時から、こやつは変貌していたのかもしれん・・」
輝き終わった杖をにぎりしめて、アラビカがつらそうに言った。
世界の破滅という恐怖は、人を狂乱させるものなのかもしれない。
「皆のもの、ご苦労であった。」
人ごみを割ってヒーローライトカオス女王がエミーとともに大広間に入って来た。
よかった。お母様が無事で・・。
広間にいた者全員が女王にひれふした。
「お母様、あたしはどうすればいいの?あたしはもとのチャオにもどりたい!!」
サラビカがいないいま、あたしは人間のままなのだろうか・・?でもそれじゃあ、この世界は・・・。
女王はあたしを抱き寄せて言った。
「お前の気持ちのままになすがよい。お前の強い意志があれば、すべてお前のねがいどおりになるでしょう・・。サラビカがいなくてもテイルスがいれば研究室へはいれます。さあ、そこへお行き。」
「麻奈さん、こっちだよ」
入り口にテイルスが立っている。
あたしは女王の涙に濡れた左頬にキスをした。
「はい。いってきます!」
あたしはソニックとシャドウと、それぞれに軽く頬にキスをすると、振り返らずテイルスと大広間を出て行った。扉の外にはナックルズとルージュがいた。あたし達は目でうなずきあった。
ありがとう・・・みんな!!
城の中央階段を下へ、下へと降りていく。
あたしは黙々とテイルスのあとをついていった。と、テイルスが廊下の一番奥の部屋の前で止まった。
「さっ、麻奈さん、ここにはいって」
テイルスが開けたドアのむこうは・・・メカ、メカ、メカーーーー。すんごい大掛かりなメカだーーーー。まさに実験室そのものーーー。なるほど、サラビカが自慢するだけある・・すごい才能だわーーー。
と、この研究室の奥で・・誰かがあたしを呼んでいるのを感じた。
声にならない声が、頭の中に聞こえてくる・・・。
あたしはふらふらっと部屋の奥にむかっていった。
研究室の一番奥に・・・厳重そうな扉があった。ロックされていて、開かない。
ここだ。ここに誰かいる・・・!!あたしを呼ぶ誰かが!!
「テイルス、ここ、開けて・・・」
「ああ、ここはね、僕やソニックたちのお母さんのマリア様が眠ってる部屋なんだよ。なんて、僕もまだ一度もお会いしたことないんだ。ここはサラビカ様しかはいっちゃいけなくて・・。でも、なんとかやってみるよ!」
あたしはドアにへばりついた。やっぱりこの中からだ。この不思議なかんじ・・。
みんなの母、マリア。そして・・多分私の子・・。
チャオワールドのため、いえ、汚染された地球のために1000年のあいだ生き続けた・・みなの天使・・・。
「できたよ!!」
テイルスの明るい声とともに、グオン、グオンと振動が響き、重いドアが開いた。あたしは静かに中にはいった。
そこには・・・大きなカプセルの液体の中に目をとじて浮いている・・・あたしそっくりの人間のマリアがたっていた・・・!!1000年生きているとは思えない、今のあたしにそっくりな若々しいマリアが、生まれたままの姿で・・・!!
そうか・・あの遺跡のクリスタルの像はマリアだったのか・・。
マリアがもともとあたしにそっくりなのか、あたしをチャオから人間にしたとき、マリアの型にしたのかは今となってはわからないけれど。
マリアのもつチャオの遺伝子を使ってソニックとシャドウという、ニュートラルを生み出したサラビカ。多分、あたしが初のニュートラルだったから、ニュートラルに特別な力があると推測したからだろう。女王はあたし以外のニュートラルによってこの世界を救えないか考えたのに違いない。となるとシャドウの父親はダークライトオカスか。だからシャドウはダークに変化した。ソニックの父親は・・サラビカかもなぁ。あの女王の最後までサラビカを信じたがってた様子は・・女王はサラビカを愛していたのかもしれない。
そしてナックルズ、ルージュ、エミー、テイルスと生み出してみたものの、みなあたしの