第13話

第13話 麻奈の秘密

かわいいヒーローチャオ達に案内されて、私は城の虹色のじゅうたんの上を進んでいった。
そして、大広間の扉が開かれ、そこにいたすべてのヒーローチャオ達が、前方奥にむかって、片ひざをついて、お辞儀をしている。
あたしはその方向をまっすぐみすえた。
そこには、玉座に座っている、夢に見た同じ姿の、お母様。ヒーローライトカオス女王がいた。

「おかえり。麻奈」

彼女は少し瞳をうるわせながら、やさしく、でも、張りのある声であたしに言った。

「た、ただいま。お母様」

あたしは緊張して・・答えた。

「本当に、よく帰ってきてくれました。今日のところは、旅のつかれを癒すとしなさい」

女王はそう言って、目で合図を送ると、お付のかわいいピンクのチャオがあたしの前に歩みでた。

「麻奈様のお部屋にご案内いたします。どうぞ、こちらへ」

「で、でもあたし、女王に話が・・・!!」

「麻奈」

女王は鋭いまなざしで、私をさとすように、言い放った。

「明日から、お前は忙しくなります。休めるときに休んでおくのです。いいですね?」

「・・・・」

すごい迫力。表情はやさしいのだけれど・・反論できない、気迫がある。さすが一国を治めてるだけあるなーー。
あたしはピンクのチャオの後をついて、大広間をでた。
あたしの部屋は五階の塔の天辺。
まあるい部屋で広くてかわいかった。八箇所の窓から美しい、ヒーロー王国の風景が一望できる。
部屋に入ってすぐ、案内してくれたピンクのチャオが話かけてきた。

「麻奈ったらぁー、ちょー久しぶりじゃん☆ あたしエミーよ?」

「エミー?」

今ごろ気づいたけど、このコ、ニュートラルなんだーー。

「そっかあ、記憶封印されてんだもんねーー。でも大丈夫。明日になれば元の麻奈にもどるんだから!」

・・そのへんの予定はあたしはわからない。とにかくヒーローライトカオス女王に会うことだけを考えてきたもんだから・・ここに来て、あたしがどうなるのか・・考えてなかったなぁ。

「エミー、おしゃべりはやめて、おさがりさない」

びっくりしたっ。いつのまにか、ヒーローライトカオス女王が立っているではないのーーー。

「きゃっ☆ 女王様!! す、すみませーんっ」

エミーは飛び上がって驚くと、そそくさと部屋を出て行った。
バタン。
扉がしまると、女王は静かにあたしに近づき、あたしに座るように手でうながした。
あたしは女王を見つめたまま、椅子に腰掛けた。女王と同じ目線になった。
女王は、あたしの顔を両手でやさしくなでながら、あたしの顔を覗き込んで、涙をこぼした。

「麻奈・・・。本当につらい旅でしたね。わたくしに力がないばっかりに・・あなたを守れなくてごめんなさい。本当は、お前をここに呼び戻したくなかった。お前には人間の世界で幸せに暮らしていて欲しかったのです。」
「お母様、私のことを教えてください」

「ええ。麻奈。わたくしは今あなたの母として、ここに来ました。今から話すことは女王失格です。でも・・わたくしは、愚かにも、あなたがかわいい。この世界よりも・・。
麻奈、あなたはこの滅亡するチャオワールドを救う力をもっています。伝説の石版にはこう、記してありました。

『700年のち、世界の終わり来るとき、天使の卵より生まれし者、世界を救う。
そなたの名は麻奈。人類の希望、チャオの姿となりて、命の光に永久の平和を築かん』と。

あなたは大人になると同時に、その方法を自分で知るということです。でも、その力を使ったとき、あなたは死んでしまう。
私はアラビカからあなたを預かったときから、あなたと世界と、両方救うことを考えてきました。あなたの力を狙うダーク帝国と和解するためにシャドウと婚約させたり。そしてダーク達はこの世界を救うために、あなたをどんな目にあわせるかわかりません。シャドウとの子供のパワーもねらっているとの情報もあります。だからあなたを守るため、サラビカに頼んで、ニュートラル達を生み出しておいたのです。サラビカの力で、人間からニュートラルを生み出すのに成功したのです。人間の世界のことは代々の女王によって受け継がれている古い歴史があるの」

「え? 人間から??」

「ええ。チャオはもともと人類が突然変異で進化したものなのです。麻奈、あなたがいた人間界はこの世界の過去なのです」

ええええええええーーーーーっっっっ!!!!!

こればっかりは・・信じられない・・・。てことは・・ここは未来??そして・・ここは地球なの??
あたしは、混乱して・・震えてきた。なんか、あたしの許容範囲超えてる・・。

「ごめんなさい。記憶を失っているあなたには酷な話をして。でもわかって。今のあなたに決断してほしいの。
人間からチャオの姿になり、大人の儀式をうけて、命をなげうってこの世界を救うか、
人間のまま、この世界をわすれて、過去へもどって、人間として生きていくか。
明日になれば、わたくしは女王として、あなたをチャ

このページについて
掲載号
週刊チャオ第42号
ページ番号
21 / 27
この作品について
タイトル
天使の卵
作者
ちいるん(ラブルージェ)
初回掲載
週刊チャオ第26号
最終掲載
週刊チャオ第45号
連載期間
約4ヵ月14日