第12話
第12話 ヒーロー王国へ
瞬間、シャドウが高く飛び上がり、ナックルズの頭上から、ナックルズを襲う。
「ナックルズーーーっ!あぶなーーいっっ!!」
あたしとファインが同時に叫んだ。
ナックルズはすばやくよけると、落下してきたシャドウの背後にまわり、ふりむきざまのシャドウの左頬に痛烈な一撃を与えた。
と、同時にシャドウも左足のキックをナックルズの胴にけりこんでいた。
二人はすばやく離れると、次の体制にはいっている。
「意外とやるな」
シャドウがはきすてた。
「お前もな」
ナックルズが答える。
二人とも息があらい。
「だが、ここまでだ!!」
シャドウはすごいスピードでナックルズのふところにはいると、ナックルズの胴に、連続でパンチし、最後に下からあごめがけて、拳を突き上げた!
「ぐあぁぁぁ!」
ナックルズは痛々しい声をあげて、のけぞってふきとび、ドサッとたおれた。
「きゃあぁぁぁ!! ナックルズーーー!」
「フッ。終わったな」
「シャドウのばかーーーっ!誰があんたなんかと結婚するもんかーーっっ!死んだってあんたとダークの宮殿なんかいかないからっっ」
あたしとファインはシャドウにむかって構えた。こうなったら、あたしも戦ってやるーーっっ!
すると、倒れていたナックルズが、シャドウの左足くびをつかんで、今度はシャドウが地面に倒れた。
「勝手に終わりにするんじゃねぇよっっ!」
ナックルズは飛び起きると、倒れたシャドウにまたがり、シャドウの顔をボコボコと殴りつける。
「いいかげんにしろっ!」
シャドウはそういいはなつと体を回転させ、ナックルズのパンチをかわし、後ろに飛び、離れた。シャドウの動きは、さすがに早い。もう、あたし、みてらんなーーーいっっ!
と、その時、
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁァーーーー」
あたしとファインの後ろで、オランの絶叫が響いた。
何?何があったの?
あたし達全員がゆっくり倒れるオランを見た。
ドサッ。
地面に倒れたオランの後ろに、ブルーのチャオが立っていた。
「お、お前はっ!!」
「ソニック!!ソニックじゃねーかっ!!」
「ヘイっシャドウ! 麻奈はこのソニック様がいただいてくぜっ!
ナックルズ! 後はよろしくなっ」
ソニックと名のったそいつは、あたしの腕をつかむと、すんごいスピードで、ダークの森を駆け抜けていった。もう、みんながみえない。あたしは足がもつれて走れない。てか、浮いてるよ、完全に!
このソニックって何者?んー、見覚えある気もするなぁ。うん、すごくするっ。
あたし達はあっという間にダークの森を抜け、噴火する火山の割れ目の谷間を抜けて、広くて綺麗な草原についた。そこにはヴァンがまっていた。
「麻奈様、よくご無事で・・」
「ヴァーーーン!」
あたしは、嬉しくってヴァンに抱きついた。こっちも心配したんだからねーー。
ソニックはヴァンにまたがると、あたしの手をつかんだ。
「麻奈、お前ものりなっ。いっきにヒーロー王国の城へ飛ぶぜ!」
「うんっ」
あたしはヴァンのソニックの前にまたがった。
ヴァンは一声いななくと、あの綺麗な銀の羽を広げ、天空へ駆け上がっていった。
ヒーローサイドは空が青くすみわたったていて、とてもきれい。太陽もキラキラ眩しく輝いている。
「ワープはしないの?」
あたしはヴァンに聞いた。
「あれは、月と星がないとできないのです。今は新月なのでできません。それで、ソニック様にお願いしたのです」
「ふーん、そうなんだぁ。にしてもヒーローサイドって、全然ダークと違うね。海も、湖も川もきれいに青く光ってるし、ヤシの木みたいな、マンゴーみたいな木がたくさんあって・・・」
「・・・本当にすべてわすれているんだな・・・」
ソニックがつぶやいた。
「俺のことも・・」
あたしは背中のソニックを見つめた。悲しげなソニックのまなざし。うん・・ごめん。ソニック。なんとなく見覚えがあるんだけど・・やっぱりわかんないよ。このソニックもニュートラルだ。毛並みや、つくりが、シャドウと似てる・・のは気のせい?・・じゃないみたい。二人とも、色が違うだけで、そっくりっっ!つまりカッコいい・・のだ。
あたしがまじまじとソニックを観察していたら、ソニックが顔をそむけた。
「どうも人間の麻奈には慣れないぜ。あんまりジロジロ見るな」
「あ、ごめん。なんで、シャドウとうり二つなのかなって・・」
するとソニックのかわりにヴァンが答えた。
「ソニック様とシャドウ様は双子なのです。正確には少し違うのですが、同じマリア様からお生まれになりましたから」
ふ、双子―――。納得。でもかたやダークの後継者。こっちはニュートラルじゃん??
「やめろっ。ヴァン。俺はあいつを兄弟と思ったことはないぜっ」
「ソニック様・・。麻奈様とソニック様とは将来を誓いあった恋人同士でしたのに・・よりによって、麻奈様がシャドウ様の婚約者と定められてしまうとは・・ヴァンは今でも悲しゅうございます」
ええええええーーーーっっっ!!