第11話
第11話 クリスタルルームの謎
扉の向こうは、眩しかった。
一面クリスタルがキラキラ光る部屋。
あたしは吸い込まれるように、その部屋の中央にでっかくそびえ立つ、巨大な像の前に進み出た。
あたしは呆然と・・ただ立ちすくんで動けなかった。
こんな、こんなことって・・。
「・・・麻奈じゃないか!!どーして麻奈の像がここにあるんだ!??」
いつの間にかナックルズが隣にいた。ルージュも、ファインもいる。
「みんな・・大丈夫なの?」
あたしは我に返った。ルージュが静かに答えた。
「ええ。火の鳥は麻奈さんが扉を開けた瞬間、天井からどこかに消えたわ。多分あれは伝説の神獣フェニックス。火傷の方は、ファインが回復魔法でなおしてくれたの。・・・それより、驚いたわね。あたしも、まさか麻奈さんそっくりな像があるとは・・思ってもみなかったわ」
本当に・・驚いた。このクリスタルの像は女神のごとく神聖な姿で、いっそうキラキラ眩しく光っている・・。まるで信仰さえ感じるこの威厳・・・。でも、顔はあたしそのものなのだ。もちろん、人間の形・・・。額の真ん中になにか卵型のへこみがある・・これはなんの意味なんだろう。
「ふーん、なるほどね」
ルージュがつぶやきながら、像の周りをゆっくりまわった。
「ルージュ。お前まだなにか隠してるんだろ。ここの扉が麻奈しか開けられないことをなんで知っていたんだ!!」
ナックルズがルージュを追いかけて、ルージュの腕をつかんで怒鳴った。
「まって。ナックルズ」
あたしはあわてて止めた。
「ルージュさんは・・ヒーローライトカオス女王に、遺跡の調査をたのまれているんじゃないかな。それか、あたしをここに連れて行くよーにとか・・」
「何!? ヒーローライトカオス女王が? そーなのか?ルージュ」
ルージュはひとつため息をついてから、話だした。
「・・・。まいったわね。依頼人の名はあかしちゃいけないんだけど・・・。ま、
バレちゃ仕方ないか。
麻奈さんの推理どうり、依頼人は女王よ。あたしはダークサイドの味方のふりしながら、ずっと前からこの遺跡の秘密を調べていたの。女王は神殿に祭られていた石版と、この遺跡が関係していると考えていたみたい。世界を救うための重要なキーワードがね。あたしが知っているのはここまで。後は女王本人に聞いてね」
そっか・・遺跡の入り口はダークサイドにあるんだもんね。それではじめはシャドウの仲間のよーなことになっていたんだ。
「ファイン、いいえアラビカ、あなたならわかるでしょ。この遺跡は人間が作ったの?そして、チャオの前の文明は人間の文明だったの?石版にはなんて書かれてあったの?あたしって一体なんなの??」
「・・・」
ファインは黙っていた。あたしをはじめ、皆がファインの言葉を息をのんで待った。
しばらくして・・ファインの口が開いた。
「わしもすべてを理解しているわけではないのじゃ。ただ、ここでは語れない。麻奈様がヒーローライトカオス女王のもとへたどりついたその時に、すべてお話できましょう。それまで、お許しくだされ」
「・・・うん。わかった。とにかく女王のところへいこう!」
アラビカのいうことはもっともだ。ナックルズとルージュに聞かせていい話じゃない。
二人にはきっと荷が重すぎる。それに、この部屋のことは今まで誰も知らなかったみたいだし。
あたし達は来た道をもどって、また八箇所の道のある部屋に戻った。ルージュはダーク帝国の宮殿に戻るという。
「女王へのクリスタルの像の報告は麻奈さんにまかせるわ。あたしはシャドウに言い訳しとく。シャドウの行動も調べているの。なんてたって麻奈さんの婚約者なんだから。女王も気苦労がたえないわね」
ルージュの身が心配だけど・・彼女なら大丈夫かな。・・んでもすっかり忘れてたけど婚約・・これも大きな謎の一つだよなぁ。どーやら女王公認らしいし・・なんであたしがシャドウとぉぉぉ!!!・・・すべては女王にあってからっ。それまで答えは我慢なんだわーーー。
「麻奈さん、あのクリスタルの部屋ね、先客があったみたい・・」
別れぎわにルージュがあたしの耳元にこっそりささやいた。
「え!?」
ルージュの思いがけない言葉にあたし仰天した!
先客なんて・・不可能じゃないの??あの扉はあたしにしか開けられない・・・。ってか人間なら誰でもあけられそーだけど・・。んでもこの世界に人間はあたしだけのはず・・!!??
「お目当てのお宝がやられていたわ。像の額にあるはずが・・見事にえぐりとられた後だったわね。もう、これだけ苦労したのに、収穫はこのクリスタル少々とは、我ながらなさけないわ」
彼女はそういって胸の間のクリスタルを あたしにチラッと見せると、チャーミングに微笑みながら、こうもり達を引き連れて、飛び立っていった。
いっいつの間に、削り取ったんだろうか。すごいなぁ。お宝めあては本当だったのねーー。
にしても先客・・?そっか。もしかしたら、かな