第10話の続き

ルージュははじめからあたしをシャドウにわたす気がないんじゃないかな。

「行こうよ。ナックルズ」

「えっ!? いいのか、麻奈」

あたしがきっぱりいいはなったので、ナックルズは驚いたようだ。

「うん。ナックルズもいるし、ファインもついてるし・・それに、ルージュさんもいるしね。きっと大丈夫だよ!!」

「じゃ、取引成立ね」

ルージュはにっこり微笑むと、右手を差し出していった。

「改めて、自己紹介させてもらうわ。あたしはルージュ・R・チャオ。目的達成まで仲間よ。よろしくね、麻奈さん」

「こちらこそ、よろしく!」

あたしとルージュはしっかり握手した。うん、このお姉さんきどりのルージュってたのもしい!!

「なんか、お前にいいようにされている気もするけど・・じゃ、こっちの道だな。さっさと行こうぜ」

ナックルズが手招きした。
ファインはぶつぶつ独り言をつぶやいてる。

「どうして麻奈様は、いつもいつもわしの忠告をお聞きになってくださらんのか・・」

あたしは聞こえないふり。心配かけて、アラビカに悪いとは思うけどー。多分平気だよ。何故か強気のあたし。闇に強いルージュが味方になったからかな。

ルージュは先にこうもり達を飛ばして安全をたしかめてくれた。おかげで、大岩につぶされずにすんだし、たくさんの針にはさまれずにすんだ。落とし穴だけは・・ナックルズがふんじゃって・・ちょっと危なかったけど、ナックルズがおっきなグローブで岩をつかめなかったら・・おっこちて、蛇(多分毒蛇)の餌食だったかも。
ともかく無事に奥へとすすんでいけた。ナックルズとルージュって、仲悪いのに、絶妙のコンビ。ナックルズの指示する方向にルージュがこうもりをとばし、帰ってきたこうもりの情報をルージュがナックルズに伝える・・。なんかおもしろーい。
そして、あたし達は、またかなり大きな部屋へとでた。奥に巨大な扉が見える。今度はすこし暑い。

「このさきがゴールかな。ってことは・・ここにラストトラップか・・。この匂い・・。奴が潜んでるぜ」

やつ・・??

その時、何か鳥の悲鳴のような音とともに、炎の玉が飛んできた。

「あぶねぇっ。麻奈っ!!走ってよけろっっ!!」

あたし達の上に、巨大な炎のかたまりの大きな鳥がおそってきた!!あたし達めがけて、口から炎の玉をはきだす。
かくれるところがないだだっぴろい、この場所で・・たしかにナックルズがいうよーに、逃げるしかないっっ。あたし達はちりぢりに走った。

「麻奈さん、奥の扉の前に行って!!そこはあなたしか開けられないの!!」

ルージュはそう叫ぶと火の鳥の目先に走っていった。おとりになる気だ!!
あたしはいきなり指名されて、驚いたけど、すぐ反応した。扉めがけて猛ダッシュ!!
ナックルズもルージュにつづいていった。二人は交差してはしりながら、たくみに炎をよけていく。
あたしは扉の前に立った。ドアを力いっぱい押した。けど・・あかないっっ!!

「違う!!麻奈さん、扉のどこかにロック解除があるはずっ!!きゃああっ!!」

ルージュの左肩を炎がかすった。

「大丈夫かっ!ルージュ!!うわああっっ!!」

ナックルズの右足に炎が直撃した。

「ルージュ!!ナックルズ!!」

あたしは叫んだ。二人は火傷の痛みで、動けない・・。
火の鳥は、大きく回転すると、悲鳴をあげて二人めがけて、口を開けた。中から炎の玉をはきだす!!

「いやぁぁぁっっ、やめてーーーっっ!!」

あたしは泣き叫んだ!!炎が二人をつつんだ。
・ ・・あれは・・ファインっっ!!

そう、いつのまにか、ファインが二人の前に立って・・なにかぶつぶつとつぶやいてる!!
そして、不思議なことに炎は、ファインの数ミリ手前で四方に飛び散ったのだ。

「麻奈様っ!今のうちにっ!!」

「う、うん!!でもロック解除って・・」

あっ、あった!!これだ!!
これは・・扉の真ん中、両サイドに・・ある形の、彫り物があった。それは、まぎれもなく、人間の手の形だ。私は右側に右手、左側に左手をあてた。
ガチッ。
鈍い音が響いた。
と、扉がドゴン、ドゴンと振動しながらゆっくり開きはじめた。


続く。


☆あとがき☆
とうとう10話になりましたー。やったー!!なんか嬉しいですねー。「世界を救う」なんてだいそれたテーマのせいで・・簡単に話が終われなくなってしまってます・・。まぁ、楽しんで書いてますよん。最後まで読んでくれて、ありがとうなのでした。
絵本もありがとー。まだまだ目標まで遠いので・・よろしくなのでしたーーー。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第39号
ページ番号
16 / 27
この作品について
タイトル
天使の卵
作者
ちいるん(ラブルージェ)
初回掲載
週刊チャオ第26号
最終掲載
週刊チャオ第45号
連載期間
約4ヵ月14日