第五話
第五話 はじめての戦い
ドラゴンの上のシャドウは不適な笑みを浮かべながらあたし達を見下ろして言った。
「ヴァン、俺は手荒な真似はしたくない。すぐ麻奈をわたせ。」
「麻奈様、このままでは不利。今から上へ上がります。しっかりつかまって!」
「あがるーーー??!!」
ヴァンは前足をあげて大きくいななくと、背中から大きな翼を広げ、空に向かって駆け上がっていった。
「うわーー☆すごーー。きれーー。かっこいいーー。」
白銀の翼がなんてきれいなのぉ。
あたし達は高く高く空へ登っていく。シャドウ達より少し高いところで止まった。
あたしは下を見下ろしてこの世界を一望した。
暗雲たちこめる黒い空。
灰色の大地に生い茂る黒い木と、真っ赤な川と湖。
正面の白いとんがった山々から底冷えする冷たい風が吹いてくる。
反対側に赤い海。
両脇には火山が勢いよく噴火していて、ときたま熱風が流れ込んできた。
ダークサイドと呼ぶにふさわしい、世界だ。
「ふっ。本気で俺にさからう気らしいな。
いいだろう。思い知るがいい・・・。」
シャドウはそうつぶやくとドラゴンの二本の角の間に片手を置いて叫んだ。
「我が忠実なしもべ、ドラゴン族の王、オランよ!
ダーク帝国の後継者、シャドウが命ずる、その混沌の憎しみ力となりて無へいざなえ!!」
シャドウがいい終えるか否か、ドラゴンの金色の目が光り、真っ赤な口をあけて、鋭い牙をむきだして、紫のかたまりをあたし達めがけて吐き出した。しかも、連続・・・!!
「ぎゃああぁぁ!!あぶないっ!ヴァンーーーっっ!!」
ヴァンはすんでのところでかわしていく。
あたしは必死でしがみついてるのがやっと。
最後のかたまりがヴァンの左羽の先にあたり、そこがドロッと溶けた。こ、こええーーーーー。
「ちょっとーーっ!!シャドウっ!!あんた、あたしの婚約者のくせに、なんてことすんのよーーっ!!」
ムカついてつい、どなっちまった。
「ふふ。遊びは終わりだ。
ヴァン、お前一人では麻奈を守りきれんぞ。」
シャドウはまた呪文を唱えようとしている!
その時、ヴァンが小声であたしに言った。
「これから、私の言うとおりにして下さい。
左手を私の角にあてて、目をとじて!今すぐっ!」
「え? え?」
とにかくいわれるとーりにした。
「そして、こう唱えるのです。
『我がしもべユニコーン族の王ヴァンよ、天使の卵より生まれし麻奈が命ずる、そのいかずちの光今ときはなて』と。」
あたしは早口で大声でどなった!
「我がしもべユニコーン族の王ヴァンよ!!天使の卵より生まれし麻奈が命ずる!!そのいかずちの光今ときはなてーーーーーっっっ!!!
あたしが叫んだ瞬間、あたし達の真上から ビカビカッと雷がヴァンの角に落ちた。
あたしはびっくりっ!!