第三話
第三話 洞窟の中
「ううん・・・」
あたしはおいしそうな甘い匂いで目が覚めた。
と同時におなかがグぅと鳴った。
あたしは大きな岩の上に横たわっていた。洞窟のなからしい。すぐ横にあの、あたしをおいかけまわしていた、真っ黒の生き物がいた。そのこはやさしい目であたしをみていて、赤い液体のはいった木の器をさしだしている。
「どうぞ、お飲みになってください。」
そのこはそういうと、うやうやしく頭を下げた。
あたしは素直に受け取ると、少し口に含んでみた。
・・おいしい。それに・・懐かしい味がする・・。
あたしは続けていっきにのみほした。不思議とおなかが一杯になった。
「ありがとう、ところで、あたしはどうしてここにいるの?」
たしか、ユニコーンの背中からはじきとばされて・・・うーむ、そこから意識がとんでる・・・。
すると、奥から杖をついて、長いひげの黒いこがやってきた。
「よくぞ、気づかれました麻奈様。ご無事でなによりです。」
「あたしの名前・・!? あなた、あたしのこと知ってるのね。」
「はい、それはもう・・麻奈様が赤子のころから・・・」
「じゃあ、教えて!! 今すぐっ、全部話してちょうだいっ。あたしとしては突然のヘビーな現象の連続にパニックしてんだからっ。」
あたしはいきおいよくせめたてた。もう、これを現実とうけとめるから、あんた達と話できてるのも、もう、なんとも不思議に思わないからっ、とにかく自分で現状を理解したいぉ、わけわかんなくてへんになりそうだけど、このさい、細かいことはどーでもいいからっ・・・。つまりちょっと半べそなのだわ。たよれそーなお馬ちゃんもいないし・・ね。
「わかりました。麻奈様のお役にたてるならば、わしの知識の泉のすべてを麻奈様に流してさしあげましょう。目を閉じて心を開放してくだされ。」
あたしは、すぐにぎゅっと目をつぶった。すると冷たい石のようなものがおでこにあたり、暗い意識の中に、静かに赤いルビー色の光が流れ込んできた。彼の言葉と、映像があたしの頭の中に写しだされていく。
チャオワールド。この世界の総称。
二種類のチャオと呼ばれる生き物が生育し、文明を築いている。
ダークエリアには黒いダークチャオ族。ダーク帝国を建設して700年。
ヒーローエリアには白いヒーローチャオ族。ヒーロー王国を建設して700年。
この世界は今、滅亡にむかっている。、獣たちが凶暴化し、地がどんどん砂漠になり、海になり、火山が噴火し、世界がせばまれてきている。
わしの名は神殿を守る意味の一族の長、アラビカ。伝説の石版をサラビカとともに守っていた。
19年前、神殿が謎の崩壊の後に石版の御安置されていた場所に、みたこともない色のたまごを見つけた。そして生まれてきた子に、伝説の石版に記されているとおり、麻奈と名づけ、ひそかにヒーロー王国に渡り、ヒーローカオス女王にあずけた。
五年前、麻奈様に危険がおよび、女王は記憶を封印し、麻奈様を異次元に転生させたと聞いている。
なぜ、麻奈様がダークカオス王にねらわれるのか・・それは伝説の石版にすべての答えがある。それは・・・。
そして真っ暗になった。と、同時に悲鳴。
あたしは目を開けた。アラビカが、目の前で石になっている・・・!!
「きゃあああああっ」
あたしはのけぞった。すると石にされたアラビカの背後に知らないダークチャオがたっているのが見えた。いままで見た中でなんとなくスタイルがよくて・・毛並みがよくて、赤いラインがかっこいいそいつは・・・少し笑みを浮かべてあたしにいった。
「麻奈、ひさしぶりだな。」
次号へ続く。
あとがき☆
だいぶ間があいてしまいました。本日めでたくADSL開通となり、やっと接続できたしだいです。いままでのお話を説明できなくてごめんね。おしとやかに、少しずつ書いていくつもりです。愛読してくれた人たち、ありがとう☆と これからもよろしく☆