第8話 ジン編
タテイ「ン・・・ンン・・・・・冷たい・・・・」
何か体が冷たい。何かが背中をなでて、どこかへ運んでいるような感じだ。
ジンも同じだった。
ジン「・・・・・・冷える・・・・」
なんと、二人がねむっていた次の日、大雨。
森では洪水がおこっていた。
そう、タテイとジンは水によって流されていたのだ!
しかも、二人それぞれ違う場所へ・・・・
先に起きたのは、ジンだった。
ジン「はっ!!!!」
飛び上がるように起きたジン。
ジン「うっ!?うわぁっ!!!!???」
ジンが立ち上がると、下半身は水におおわれている。
水の流れは強く、今にも流されそうだ。
ジン「くっ・・・・」
ジンは木にしがみついた。そしてバタ足でバランスをとり、流されないようにした。
ジン「こっから流れ落ちたら、水から崖に落とされてしまう・・・」
そう、森には出口と入り口しかなく、その他の周りは崖だ。
だから、流されてしまえば、崖から落ち、木へぶつかりながらミジメな姿になるだろう。
ジン「流されて・・・たまるかぁっ!」
ジンは木の皮がめくれあがったところにつかまり、どんどんと木を登っていった。
木はとても高く、一番上まで登ってしまえば、洪水はとどかないのだ。
ジンは一番上に登り、しばらく休んだ。
ジン「タテイスカン・・・・どうしているだろう・・・・」
少し考えた。
ジン「あいつは、運動神経はいい。俺よりもずっと強い。寝るのが長い体型と見える。もしや、流されているのに気づかず、ずっと寝続け、落ちたのかもしれない・・・・」
崖から落ちてしまえば、永遠の眠りにつくに違いない。
すると、ジンの登っていた木が、ミシっとちょっぴり傾いた。
ジン「この木も・・洪水にはいずれ耐えられなくなるか・・・・」
すると、また、ミシ・・・・ミシミシ・・・っと動く。
ジン「ちっ、どうすれば・・・・」
すると、遠くの方ににこの森の主と見えるとても大きな大木を見つけた。
ジン「あれに飛び移れば・・・・・うっ!!!」
木が折れた。
ジンは水に向かってまっさかさま・・・と思いきや、
ジン「ホッ!ホッ!ホッ!」
ジンは木をけり、隣の木をけり、と、三角飛びをした。
だが、もう立っている木がない。
ジンは流れている木にのり、どんどん大木へ進んでいた。
ジン「ハァ・・・ハァ・・・」
そして、大木のすぐ近くにきた。ジンは、ジャンプしようとした。が、足場(木)がくずれ、ジンは水の中へ・・・
ジャボォオーーン!と水しぶきをあげ、落ちた。
だが、ジンはあきらめずに、逆流に立ち向かいながら泳いだ。そして、やっとのことで、大木の根元部分をつかんだ。
ザバッ・・と体をあげ、大木を登った。
大木の一番上まで登ると、そこは、見渡す限りのハゲた森。
ジン「こいつはひどいな・・・・木がほとんど倒れて、ハゲ状態だ・・・」
そして、ジンは、木がドンドン倒れていく無残な姿を、大木の上からずっと見ていた。