第十六話(上)
―お屋敷の右側廊下―
タタタタッ。
この長い廊下を、走り続けているヒーライターの二人、ラフィンとチャオノスケ。
今の二人には、絶対にプルグレリーを盗ませない一心で、いっぱいだと思う。
真剣な表情をしながら、先ほど横を通りすぎたモノを追っている。
絶対に盗ませるものか!!
プルグレリーは・・、ヒーライターにかけても、オレ達が守りぬいてみせる!
オレは、もちろん歯を食いしばりながら、少しスピードを上げた。
チャオノスケも、それに気づくと、少しずつスピードを上げている。
オレ達は、だんだん追っているモノに近づいている・・・・ような気がした。
そう、追っているモノの、姿が見えるようだった・・。
もうすぐ、ワイン庫だ・・・・。
もちろん、ワイン庫には、ダーフラワーお目当てのプルグレリーがある。
だが、ワイン庫のドアには、ちゃんと鍵が掛かっているんだ・・・。
万が一、鍵をこじ開けようなんて事があったら、オレ達に追いつかれてしまうハズだ。
さぁ・・・・、その姿を見せるんだ!ダーフラワー!
すると、だんだんオレの視界に、左に曲がる曲り角が見えてきた。
ラフィン「そろそろワイン庫だぞ!」
オレはすかさず、後にいるチャオノスケに話しかける。
チャオノスケ「うん!」
よーし・・・。あの曲り角をまがれば・・・
最後の最後!オレは体中の力を出しきって、その曲りかどを曲がった。(少し滑ったけど)
そして、着いたがワイン庫の前!
ダーフラワーとのご対面だ・・・。
・・・・と、思ったが、オレの願いは叶わなかったみたいだぜ・・・。
オレは、ワイン庫のドアを見るなり、立ちすくんでしまったんだ。
そう、オレがダーフラワーを見つける(?)事が出来ると踏んでいた、このワイン庫の前には
何の姿も無かったんだ。
オレが愕然としてしまった。
そして、後から曲りかどを曲がって、ワイン庫の前に来たチャオノスケも、てくてくとオレの横に歩いてきてこう言う。
チャオノスケ「どうして・・・?」
どうして・・・?そんなのオレにもわかりやしねーよ・・・
期待はずれ・・・それだけじゃない。ヒーライターとしての能力が、衰えていたんだ。
二人は、そこに座り込んでしまった。
一瞬にして、全身の力が抜けるのがわかる。
あはは・・・もうダメだな。今回は・・・。
だけど、この後こんなオレ達をもう一度立ち上がらせる奴が現れたんだ。
まさか・・・・のヤツだったけどな。
下に続きます?