第十四話(下)
十三話(下)前回
「いくらなんでも、遅すぎるんじゃありませんの?」
風のように現れたこのチャオは、一言言い終わると、いきなりまわしげり様の方を睨んだ。
だが、にらんだといっても、あまり目はきつくはなかった。
まわしげり様「ハハハっ。何がだい?」
すると、まわしげり様は睨まれたのも気にせず、このチャオに問いかけた。
どうやら、初対面ではないらしい。
「何が・・・・って、その盗人達・・・、もう屋敷内に入っていますのよ。」
まわしげり様「まぁ、確かにな」
「それなのに、何故わたくしをお呼びしてくれないのです?」
どうやら、このチャオの様子が荒々しくなってきた。
すると、このチャオはまわしげり様の元へ歩きだして・・・・そしてこう言う。
「憎きダーフラワーは、わたくしが消してみせますわ」
まわしげり様「ハハハッ。だがまだそれは早いぞ!私だってこの家の主人だ。警備も仕掛けも万端なのだぞ?」
そう言うと、まわしげり様はいきなり立ち上がり、
棚の上に置いてある、一つの写真たてを手にとった。
その写真たてには、何やら、凄く綺麗なメスチャオの写真が入っている。
まわしげり様は、もの懐かしげにそれを見ている。
まわしげり様「ダーフラワー・・・・。果たして、君の腕でハメられる相手なのか・・」
「そ、そんな事ありませんわ!わたくしだって、元怪盗ですもの!あれくらいの奴らでしたら・・・」
何故か、このチャオの声は急に小さくなった。
すると、まわしげり様の口元にも笑みが見え・・・
まわしげり様「なら、君に少し手助けをしてやろう。」
そう言うと、まわしげり様はチャオの前に立ち、胸元のポケットから、
黄色いカードらしきものを出した。
そして、チャオの手に渡す。
まわしげり様「私が仕掛けた、トラップに反応するカードだ。ダーフラワーに会うのなら、それが一番良い。」
チャオは、そのカードをしばらく見つめていた。
そして・・・
「私をあんまり、甘く見ない方がよろしいですわよ・・・」
そう言うと、チャオはまた風のように、この部屋からいなくなった。
チャオが付けていたと思われる、白いリボンが、ひらりと床に落ちた。
まわしげり様「(・・・・チャリアルよ・・・。そんなにもダーフラワーが憎くなってしまったのか・・・)」
まわしげり様は、黙ってこのリボンを見つめていた。
次回へ続く~?