『第十三話~海~』
フロル達は、ブルードラゴンのマリンとシーに乗って海を行くことになった。
………………………
「うーみーはーひろいーなーおーきーいなー♪」
フロルは大声で歌を唄った。みんな耳をふさいだ。
「・・・フロルは~歌が~下手なの~」
ジィニーはフロルに言ったが相手にされなかった。
「らららーらららんらんらー、らららーらららんらんらー」
フロルはまだ歌を唄っている。他のチャオ達が何を言っても反応しないと思ったら、カセットをイヤホンで聴いていた。(・・・チャオの耳はどこだよ)
「・・・リトルレイン」
アクアルがフロルに手をかざすとフロルの上に小さな雲ができた。
「ん?」
影ができたのを感じてフロルが上を見ると雨が降ってきた。
「アクアルひどいよ~」
フロルは振り返った。それを見たアクアルは少し笑いながら、
「くすくすくす・・・海水じゃないぶん良いと思いなよ。まあ、下手すると壊れるからさっさとしまったら?」
そういってカセットを指さした。カセットを見たフロルはうわっと言ってそれをしまった。
そんなことをしているとマリンとシーが止まった。チャオ達は慣性で海に落ちそうになった。(ダークとジィニーは落ちた。)
「危ないなぁ・・・いったい何?」
フロルは頭を少しこすりながら顔を上げ、それを見た。
マリンとシーの五倍もあるようなドラゴンが二体いた。
口には鋭くとがった歯がびっしりと生えている。背中にも鋭く大きなとげが生えている。頭のてっぺんには長く大きな角が生えている。
「よおマリンにシー。チビつれてどこへ行く?遊園地か?」
そいつはそういうとかかかと笑った。もう一体もそれにあわせる。
「それとも港か?かかか、食べられちまうぜ」
「タスクとファング・・・・」
「タスクトファング?・・・それって誰?」
みんながフロルを見た。
「・・・お前、話を聞いていたか?シーサーペントの兄弟だ。」
セイレーンがあきれたように言う。
「聞いてない♪シーサーペントって何?」
胸張っていえることじゃいとアクアルがつぶやいたのに気がついたのはダークだけだった。セイレーンが簡単に言う。
「あれ」
セイレーンは目の前にいる二体を指さした。あっそうと言うとフロルは二体に向き直った。
「邪魔だから横にどいてね。僕らは行かなきゃならないの」
それを聞いたシーサーペント達は笑い出した。
「おチビさんが何を言っているって?タスク」
「横にどけって言っているみたいだねえ。俺たちに」
「・・・遠回りすれば問題ないのでは?」
おお、とみんながアクアルを見た。マリンとシーは了解と言ってシーサーペントを迂回して泳いでいった。そしてディンがすれ違うとき、
「ふざけたことをなさいますと雷を落としますわよ」
そういって微笑んだ。手に雷を集めながら。
その効果があったのかシーサーペント達は彼らに手を出さなかった。