~第8話・中編~

中編

病院の中。

彼女は何とか一命を取り留めた。

【リエット】「・・・ここは?」
【ルピカ】「・・・仕方がないから病院へ連れてってやったんじゃない。」
【リエット】「他の3匹は?」
【ルピカ】「今は外で待ってるわよ。」

それを聞くと、彼女は静かに語りだした。

【リエット】「くっ・・・、私は往生際が悪いわね・・・。
       父親も母親も死んだってのに・・・」
【ルピカ】「・・・そしたらあたしはどうなるのよ。
      死ぬどころか、怪我する気配すらないわ。」
【リエット】「・・・それはあの要塞の中に飛び込んでから言いなさい。
       サティスラ家のお嬢様でも、勝てるのかどうか。」
【ルピカ】「あたしはどっかのお嬢様みたいに1匹で飛び込むようなバカじゃないわ。」
【リエット】「・・・私の負けね・・・。」

リエットが諦めた様につぶやくが、ルピカが否定した。

【ルピカ】「勝ち負けじゃないって!
      特に、グラウンドが支配している今は。
      10年前、つまらない内輪もめをしていたあたしらは結局、グラウンドに滅ぼされた。
      だからあたしとリエットが一緒にグラウンドを滅ぼすことに意味がある。
      アニノの力はグラウンドに滅ぼされる程のものなの?そうじゃないでしょ?」
【リエット】「・・・でも、この体では、無理・・・。」
【ルピカ】「・・・回復ならいくらでも待つわ。だから、・・・今までの事全部謝るからさ・・・。」
【リエット】「それはお互い様。謝る必要は無いわ。・・・それより、迷惑かけて、悪かった。」
【ルピカ】「ううん、大丈夫。大事な『仲間』だからさ。
      ・・・それじゃ、回復を待って出発ね。」
【リエット】「・・・ええ。」

ルピカは病室から出て行った。


【リエット】「『仲間』・・・・。
       まあ、仕方ないわね・・・。私が1匹で戦った理由なんて、誰も知る由もないし。」


一方、病室の外。

【ルピカ】「ふー、何とか説得できたわ。」
【デスピナ】「・・・かなり疲れているみたいですが、お嬢様。」
【ルピカ】「頼むから、もう『お嬢様』はやめてよ・・・
      むしろ立場が逆にもなりかねないのに。」
【エレナ】「まあまあ。リエットを説得するのに一苦労したんでしょ。」

一見、クレードを目の前にして足止めを喰らったようだが、それ以上に大きな味方が加わった。

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【番組アナウンサー】「第7問!
           カオスエメラルドの7色を全て答えなさい!」

しばらく沈黙が走る。
番組に出演しているタレントも、アナウンサーも、番組のスタッフも。

そしてその直後。
ボタンがほぼ同時に押された。

【番組アナウンサー】「先に押したのは・・・・セトラだっ!
           答えをどうぞ!」
【セトラ】「赤・黄色・黄緑・緑・水色・青・紫!!」

【番組アナウンサー】「果たして正解は・・・・?」


ブー!

【番組アナウンサー】「何と違うっ!
           そして・・・サリナスがすかさずボタンを押す!
           さあ、答えは!?」
【サリナス】「赤・黄色・緑・水色・青・紫・白!!」



・・・・ピンポーン・・・・

決着の鐘が鳴った。
ただの効果音ではある。
しかし、その効果音には、4年という歳月の間に溜まったいろんな『何か』を全て吹き飛ばす『効果』があった。

収録が終った後の話である。

【サリナス】「・・・恨みっこはなしよ。」
【セトラ】「・・・ああ。
      4年前のような事態にはさせたくないしな。」
【サリナス】「・・・4年前、あんな事態になったのはあたしらのせいだしね。」
【セトラ】「・・・・そうか・・・・。
      結局、君に勝つことなんて出来ないのか・・・。」
【サリナス】「いきなり何よ?」
【セトラ】「・・・いや、何でもない。それより、帰りの車はまだか?」
【サリナス】「・・・何が言いたいのか知らないけど、まあいいわ。
       帰りの車だけど、渋滞で遅れるみたいよ。」

2匹が帰ったのは夜も遅くなってからであった。

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後編へ続くっ!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第33号
ページ番号
16 / 23
この作品について
タイトル
『スパイラル』
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第26号
最終掲載
週刊チャオ第35号
連載期間
約2ヵ月5日