~第7話・前編~

スパイラル 第7話 崩壊へのプロローグ


翌日、休み時間。

【ミリル】「どこまで進んだ?」
【クライト】「リエットが出たところまで。」
【アレスト】「・・・感じ悪いよな、アイツ。」
【ミリル】「ゲームのキャラに言ったって仕方ないと思うけど・・・」
【クライト】「・・・そういえば、セトラとあの転校生は?」
【ミリル】「ああ、セトラとサリナス、今日が『あのチャオは今?』の収録で休むってさ。」
【アレスト】「・・・なんか、展開が速くねぇか?」
【ミリル】「俺もそう思う。」
【クライト】「・・・いきなり転校生が来て、セトラの相方で、復縁して、収録。
       これがたった2日間で・・・」
【アレスト】「おいおい、相方って漫才かよ!」
【ミリル】「漫才やっても頭使って面白いのが出来そうな気がするけどね。」

ハハハハハ・・・


さて、その頃そのセトラとサリナスは、スタジオへ向かう車の中。

【サリナス】「・・・ねえ、今回の企画、どんなのか知ってる?」
【セトラ】「こんな展開で知ってる訳がないだろ・・・。
      考えてもみろよ、いきなり嫌いだった奴に仲直り申し込まれ、その直後に出演依頼。
      頭がついていかなくなりそうだよ。」
【サリナス】「へぇ・・・セトラでもそういう事あるんだ。」
【セトラ】「あの時以来ろくに頭を使ってないからね。」
【サリナス】「それで、全国ゲーム選手権でベスト8?」
【セトラ】「・・・なぜその事を?」
【サリナス】「そりゃ記事になるわよ、並み居る大人を押しのけてベスト8だもん。
       んで、今回の出演依頼も、その記事を見た番組のスタッフが企画したんだって。」
【セトラ】「そうか・・・。
      ・・・で、企画って何だ?」
【サリナス】「それがどうも・・・『決着をつける』って意味で、またあたし達対決しなきゃいけないらしいのよ。」
【セトラ】「・・・・・。」

不吉な予感がした。
しばらく、沈黙が走る。

【セトラ】「そういう運命なのかもな。」
【サリナス】「なにほざいてんのよ。まったく、マスコミってのは身勝手なんだから・・・」
【セトラ】「しかしマスコミが求めてるのはあくまでも「視聴者の楽しみ」。結局、責任は僕らにあるのかもね。」
【サリナス】「・・・・・。」
【セトラ】「『タレント』として出演する以上、視聴者が楽しむことをやらなければいけないと思うが?」
【サリナス】「・・・分かったわ。やるからには、全力でアンタと戦う。 覚悟はいい?」
【セトラ】「当たり前だ。」

【サリナス】「・・・しかし初めてかもね、アンタに口説かれたのは。」
【セトラ】「久しぶりに回ったよ、頭が。ウォームアップには丁度良かった。」
【サリナス】「あ、スタジオに着いたみたい。」

この『前哨戦』。しかし、これは名勝負の幕開けに過ぎなかった。

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【リサラ】「で、こんな内容の小説が書けるって、ルシスは天才気取り?」
【ルシス】「・・・なのかも知れない。」
【リサラ】「・・・認めちゃうの?」
【ルシス】「僕らはナルシストな生き物だよ。
      ・・・小説家の類は、特にね。」
【リサラ】「ふーん・・・
      やっぱりあたしには無理だよ、そんなこと認めるなんて。
      そういう所がルシスを彼氏にした理由なのかもね。」

『神』に小説を書き換えられて以来、リサラも手伝って大忙しだ。
何回もチェックしないといけないからね。

しかし厄介なことになった。
僕の小説が進めば進むほど、神の邪魔が入る危険性が高くなる。
しかし進まないことには始まらない。

しかしあれ以来、書き換えはないな。
何があったのかは知らないけれど。

でも、嫌な予感だけはする。
何か、「嵐の前の静けさ」というか。

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【クライト】「しかしずるいよな・・・あの2匹。」
【アレスト】「ああ、ちょっと頭がいいだけで学校休めて、さらにギャラ(出演料)まで貰えるんだろ?」
【ミリル】「確かに、何もない俺達には羨ましい限りだよな。」

いつもの帰り道である。

【ミリル】「でも、向こうからしたらこっちが羨ましいかもね。」
【クライト】「何でだ?」
【ミリル】「そりゃ俺には何もないからよく分からないけど・・・『普通の学生』になってみたいんじゃないのかな?」
【アレスト】「・・・どうなんだろうな。」
【ミリル】「ま、自分の考えなんて自分にしか分からないと思うけど。」
【クライト】「・・・!ゲーム!!」

クライトが思い出してしまった。
3匹とも全速力で駆け出し、消えてしまった。

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中編へ続くっ!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第32号
ページ番号
12 / 23
この作品について
タイトル
『スパイラル』
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第26号
最終掲載
週刊チャオ第35号
連載期間
約2ヵ月5日