~第7話・中編~
中編
3匹は、とある街の喫茶店で、話をしていた。
【トレイス】「リエットか・・・。」
【エレナ】「このままじゃ、グラウンド崩壊の主役を奪われかねないわね・・・。
実力もはるかに上だし。」
【デスピナ】「うーむ、あれほどの強力な魔法が使える・・・まさか!」
【トレイス】「何か思い出したのか?」
【デスピナ】「・・・・リエット=アルシェイド。
恐らく、彼女の本名はこうだろう・・・」
【エレナ】「アルシェイドって、まさか・・・・」
【デスピナ】「ああ。死んだと思われていたアルシェイド家の娘だろう。」
そのアルシェイド家についてまとめてみよう。
アルシェイド家は、代々魔法種族アニノのリーダーを務めていて、その力もアニノのうちで最強と言われている。
かつて当主であったトゥルス=アルシェイドは15年前に行方不明になり、妻であったジュネラが後を継いだ。
しかし彼女も10年前のグラウンドとアニノの最後の戦いで戦死、その娘がリエットだったのだ。
元々、その時にリエットも死んだと思われていたのだが、最近の一連の動きにより生存が発覚。
彼女は逃亡しながら次々と軍を破り首都へ向かっていたのだ。
【トレイス】「しかし・・・アニノをまとめる存在が、なぜ1匹で・・・」
【エレナ】「そう、そこが分からないのよ・・・。」
【デスピナ】「しかし、トゥルスが行方不明になってから、アルシェイド家は没落してきていたからな。
プライドを保つため、かも知れん。」
【トレイス】「確か、アルシェイド家が没落してから台頭したのが・・・」
【???】「サティスラ家でしょ?」
飲み物を届けにきたウェイトレスが言った。
【エレナ】「・・・なぜあなた、その事を?」
【???】「ふう。ようやくバイト地獄から逃げ出せそうね。
あたしはルピカ=サティスラ。これで分かったかしら?」
【デスピナ】「まさか、あのルピカお嬢様が、こんな場所で・・・」
【ルピカ】「ああ、デスピナ君。お願いだから、この場で『お嬢様』はやめてくれない?」
【トレイス】「・・・知り合いなのか?」
【ルピカ】「アニノが滅亡する直前、デスピナはサティスラ家で手伝いをして働いていたの。
よく生きてたわねぇ。」
【デスピナ】「まあな。」
【エレナ】「でもまさか、両家の娘が両方生きてるとはねぇ・・・。」
【ルピカ】「ええ、あたしもリエットを見た時は驚いたわ。もっとも、悪口思いっきり吐いてやったけど。」
分かる方もいると思うが、アニノ滅亡直前のアルシェイド家とサティスラ家は激しいライバル関係。
特にリエットとルピカの仲の悪さは有名だった。
アニノ滅亡時も、決して一緒に戦うことは無く、別々にグラウンドの軍と戦い、そして負けた。
【ルピカ】「でも本音を言うと、今はもめてる場合じゃないのよね。
それにあの時一緒に戦えば、グラウンドに勝てたかも知れない。
リエットもきっとそう思ってるはず。
だから、1匹で戦うのは別なところに理由があると思う。」
【デスピナ】「さて、それはそうと・・・どうする?」
【ルピカ】「バイト辞めることを店長に伝えてくるから、先に外で待ってて。」
【エレナ】「分かった。」
と、3匹が一歩外に出ると、メカの軍隊が囲んでいた。
【トレイス】「なっ!?」
【グラウンド隊長】「ここで終わりだ、アニノの端くれ!」
【トレイス】「そうはさせるかっ!!」
街の真ん中でいきなり激しい戦いが始まった。
が、敵は多数、普通に戦っても無駄だと悟った3匹は、ビルの中に逃げ込んだ。
【グラウンド隊長】「追えっ!」
ロボの兵士がビルの中へ突入する。
【エレナ】「上にいる方が有利よね!」
エスカレーターから上がろうとする兵士を、上から魔法で叩き落した。
しかし敵は怯まず(ロボだから怯むことはないのだが)、今度は射撃をかけてくる。
それをかわすと、外れた弾が柱に当たり、壊れた柱は下にいるグラウンド軍を襲う。
何とか互角には持ち込んでいるが、勝算は薄かった。
だんだん追い詰められ、ついにビルの屋上に来てしまった。
飛んで逃げようとしたその時、隊長が上に上がってきた。
【グラウンド隊長】「飛んで逃げようとしたようだが、わしも飛べることを忘れるなよ。」
ロボは飛べないが、ここはチャオ同士。
隊長は銃を構える。
【トレイス】「くっ・・・・」
と、その時、
【ルピカ】「飛んで逃げようとしたって、あたしも飛べることを忘れないでね。」
隊長の後ろで、ルピカが構えていた。
【グラウンド隊長】「!!貴様・・・」
【ルピカ】「ごめん、みんな。店長に理由説明すんのに戸惑ってさ。
じゃ、隊長さん、さようなら。」
そう言った後、彼女は魔法を放ち、隊長を仕留めた。
【ルピカ】「ふう、後はザコを始末するだけね。みんな、いきましょ!」
【トレイス】「おっしゃ!」
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後編へ続くっ!