~第5話・後編~
後編
最後のチャイムが鳴る。
テストが終ってホッとした、これからたくさん遊べる、などなど、教室は色んな感情が入り混じる不思議な空間になる。
教室がこんな空間になる事は滅多にないので、その気分を味わい帰らないチャオもいる。
だが、この3匹は別だ。
【クライト】「続きだ続きっ!」
【アレスト】「誰が一番早く全クリできるかっ!?」
【ミリル】「もちろん俺だっ!」
早々と教室から立ち去った。
それを傍から見ていたセトラは一言、
【セトラ】「いいね・・・僕にはライバルがいないし・・・。」
ところが次の瞬間、その隣にいた女子のおしゃべりに一瞬耳を疑った。
【生徒チャオA】「ねえねえ、知ってる?明日転校生が来るらしいよ。」
【生徒チャオB】「知ってる知ってる!セトラ並の凄い天才なんだって?」
【生徒チャオC】「うそ!?男子なの、女子なの?」
【生徒チャオA】「それが、女子らしいのよ。」
【生徒チャオC】「ラッキー、いろいろ教えてもらおうっと。」
【セトラ】「・・・悩みの種が一つ消えそうだね。」
さて、3匹である。
例の交差点まで、マラソンである。
早く家に着かないことには、ゲームは進まない。
いつもの半分の時間で交差点まで来た。
【ミリル】「・・・それじゃあ、明日なっ! ・・・はあ、はあ、・・・」
家に帰るなり、すぐにゲームの前に来てスイッチオン。
「Press Start」→「Continue」。
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【デスピナ】「・・・噂によると、この街にはグラウンドの幹部がいるらしいな。」
とある街での話である。
【トレイス】「にしても、探すのがちょいと面倒だな・・・これは・・・」
【???】「探す必要はありませんよ。」
【エレナ】「誰っ!?」
【???】「私だ。グラウンド外務次官、ミランダ。」
【トレイス】「先に聞きたいが・・・何故外務次官ともあろう貴様がこの街に?」
【ミランダ】「簡単だ。私の職は外務次官だが、最早グラウンドが惑星全体を征服した今、この職は無用なのだ。」
【エレナ】「お払い箱、って訳ね。」
【ミランダ】「だがそれも今日までだな。貴様等を倒せば再び中央へ進出できる。死ねっ!」
と、拳銃を構える。
だが、トレイスが魔法を打ち込み、ミランダを吹き飛ばす。
【ミランダ】「おのれぇっ、・・・!」
彼の拳銃はどこかに吹き飛んで行方不明。
素手でアニノの連中に勝てるはずもなく、ただただ逃げるのみであった。
【トレイス】「待てっ!」
慌てて3匹が追いかける。
街中を追い掛け回す事10分。
【デスピナ】「・・・逃げられたな。」
【エレナ】「っつったってあんな奴、単なる落ちこぼれでしょ?いいじゃん、倒さなくても。」
【トレイス】「・・・確かに。」
何事も無かったかのように3匹は街を抜け、次の街へ向かった。
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【ミリル】「・・・ギャグ?」
このゲームにしては珍しい。
【ミリル】「・・・多分、クリエイターが息抜きに作ったんだろうな・・・」
その後もゲームは順調に進行、次々と街を突破していくが、ミリルが今日やった分では仲間は増えなかった。
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あの翌日は、ずっと小説の続きを書いていた。
多分昨日やってない分も一気にカバーしたからだろう。
あんなに集中して小説を書き続けていたなんて、自分でも不思議だ。
という訳で、今日は休憩。
ゆっくり寝るとするか。
・・・だけどこの時、小説の世界が「暴走」を始めていたことを、僕は知らなかった。
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水曜日の朝。
ミリルが登校すると、学校前の大通りに野次馬がたかっていた。
【ミリル】「な、何だ?」
野次馬をかきわけて覗いて見ると・・・・
【ミランダ】「おのれぇっ、・・・!」
【トレイス】「待てっ!」
一瞬目を疑った。
ゲームの世界にいるはずのチャオが、この世界にいるのだから。
そして昨日自分がゲームで見たのと全く同じ様に追走劇が繰り広げられる。
トレイス達は「異次元にワープした事」に気付いていないようだ。
しばらく、(ゲームと全く同じ様に)追走劇が繰り広げられたが、突然4匹は消えた。
ミリルを始め、他の野次馬も、しばらくそこに立ち尽くしていた。
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えっと、一応解説。
最後のシーンはルシスの小説ではありません。
これが「暴走」の意味。