~第4話・後編~
後編
久しぶりに街を歩く。
食料品は近くのスーパーで済ませるからね。
・・・ん?待てよ?
何かがおかしいぞ?
リサラもそれに気付いたようだ。
【リサラ】「・・・あれ? ここ・・・・どこ???」
確かに商店街なのだが、僕の住む街じゃない。
【リサラ】「何か、雰囲気が、こう・・・怖い、というか・・・。」
閃いた。
ここは「Black World」でさっきまでトレイス達3匹がいた街。
トレイスとエレナがデスピナと出会った街。
【ルシス】「ちきしょう!今度は逆かぁっ!」
思わず、そう叫んだ。
【リサラ】「? どうしたの?」
【ルシス】「心当たりがあるんだ・・・」
【リサラ】「まさか、ルシスがさっき言ってた・・・」
【ルシス】「ああ、僕の小説の世界だ。
まさか僕らがこちらに来るとは・・・」
と言った瞬間、僕の周りの風景は元の街に戻っていた。
【リサラ】「・・・戻った???」
【ルシス】「らしいな。
・・・これ以上奴の身勝手に付き合わされるのは困る。とりあえず、帰るぞ。」
【リサラ】「奴って?」
【ルシス】「この世界の僕の小説の世界を結んだ、『時空の支配者』だ。」
【リサラ】「んじゃ、今のはそいつのせいなの?」
【ルシス】「多分な。・・・科学的にも説明がつかないだろうし。」
リサラと別れ帰る時、僕はずっと考えていた。
奴の目的は一体何なのか。
僕らを混乱させて楽しんでいるだけか?
それとも、もっと深い意味があるのか・・・・
とりあえず、家に帰って小説の続きを書く。
今、僕にできるのはそれだけだ。
仮に今後も、『時空の支配者』の悪戯(いたずら)に付き合わされるのならば、自ら小説を都合のいい方向に持って行くこともできる。
でも、それはやらない。
僕のプライドが許さないから。
家に帰って、さっそく続きを書き始めた。
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月曜日。
テスト前日だ。
ゲームの話どころでは無かった。
話題は「この問題、どう解くの?」だとか、問題の出し合いだとか、そういう話題ばかりである。
でもみんな、それはそれで悪くはないと思っている。
そして、セトラの周りにはテスト前の恒例、黒山の人だかりだ。
そんな時、ミリルがセトラに聞いた。
【ミリル】「ねえ、教えていいの?損したとか思わないの?」
【セトラ】「僕の記憶だって完璧じゃないから、教える事によってこちらも勉強になるんだ。」
【ミリル】「報酬とかって貰った事、あるの?」
【セトラ】「不良の連中からたまにね。でも、別に取るつもりはないよ。
それだと不良の連中と変わらないしね。」
その後も、ミリルはセトラに幾つか質問をしたが、ミリルにとってはどんな答えもセトラの自慢以外には聞こえなかった。
その日ミリルは、セトラの言葉が気になったので、いつも3匹で帰る道を1匹で帰った。
家に帰る途中も、何故かセトラの台詞ばかりが頭を回る。
なぜ、あんなセリフしか吐けないのだろう。
もっと謙虚にすればいいのに・・・
と思った瞬間、彼なりの答えが出た。
天才であるが故の苦悩。
そういう台詞しか吐けない運命。
【ミリル】「そうか・・・セトラも悩んでる、って事か・・・。
天才に、悩みなんかないと思ってたけど・・・。」
それ以来、セトラに対する目が少し変わった。
今日は家に帰ってもひたすら勉強である。
明日は中間テスト。
ゲームをやってる暇はない。
それでも、ゲームの事が気になって仕方がない。
【ミリル】「デスピナか・・・・4匹目はいるのかなあ?」
色んな事が気になって、テスト前日だというのに早く寝てしまった。
いよいよテスト当日。
異様な雰囲気である。
朝もセトラの前には人だかり。
しかし、始業5分前のチャイムで静かになった。
そして・・・・
【教師チャオ】「始め。」
「Black World」の中では、トレイス達が戦っている。
ミリル達の、もう1つの戦いが幕を明けた。
続く
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続きは来週っ!