~第3話・前編~
スパイラル 第3話 君に助けを、僕には夢を
【トレイス】「アンタの名前は!」
【ルシス】「僕?僕はルシスだよ。」
と、答えた次の瞬間、エレナが僕の首を締め上げた。
【エレナ】「どうしてあたし達がこんな世界に来なくちゃならないのよ!!アンタのせいなんでしょ?」
【ルシス】「だ、だから、知らないってば・・・」
しかし、魔法が通用するあの世界のチャオが相手では、それを証明する術はない。
【トレイス】「それじゃあ貴様は何故俺達の事を知っている?」
【ルシス】「僕は、君たちの未来を掌る(つかさどる)者。
しかし未来を掌るだけであって、君たちをこの世界に呼ぶことはできない。」
【エレナ】「じゃあ答えてもらうわ。
これから先、グラウンドの支配はどうなるの?アニノ一族の行く末は?」
【ルシス】「君たちがあの世界に戻れるかどうか、だ。
君たちの世界が僕に掌られているのだから、僕らの世界を掌る者もいるはず。そいつ次第だ。」
【トレイス】「・・・じっとしていては面白くないな。
せいぜいこの世界を楽しんでいくとするか・・・。」
【エレナ】「なぁアンタ、この世界って恐怖政治なのか?」
【ルシス】「いや、そういう訳ではないが・・・」
その後もいろいろ質問攻めだ。
とにかく彼らは何かやりたいらしい。
まあ、いきなり乱世から平和な世界に来たし、気持ちも分かる。
【ルシス】「これだけは言っておこう。
乱時の英雄、平時には馬鹿。
平時の偉人、乱時には臆病。
つまり・・・」
説明に入ろうとしたその時、いきなり彼らが光に包まれ、消えた。
【ルシス】「・・・・戻ったのか・・・?」
僕は再びペンを取った。
この事実は、どこかに書き留めなければならない。しかし、そうなるとゲームをする少年達の設定が狂う。
そこで、別の紙の片隅に書いておくことにした。
しかし・・・・、どんな奴なんだ、この世界を掌る奴ってのは・・・・
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・・・気付いたら、謎の光に包まれたその場所に戻っていた。
【トレイス】「戻った・・・のか?」
【エレナ】「みたいね。」
【トレイス】「・・・おい、時計見てみろ。
向こうに行く前から進んでないぜ。」
【エレナ】「・・・アイツの仕業、とでもしておく?」
【トレイス】「・・・だな。」
【エレナ】「ねえ、あたし達って一体何なの?」
【トレイス】「?」
【エレナ】「あたし達も、この世界も、全部アイツが創り出し、未来もアイツの頭の中に全て握られている。
この台詞だって、結局はアイツが考えて喋らせた、って訳じゃない?」
【トレイス】「・・・気にしない方がいいだろう。
俺達にそういう意思があるのなら別だが、そうじゃねぇだろ?
それより、今はグラウンドを叩く方が先だ。」
【エレナ】「・・・そうね。グラウンドを潰してから考えても遅くはないわね。
それじゃ、行きましょ。」
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ここまで書くと、その紙をしまっておき、いよいよ本編である。
くそっ、無駄に時間を費やしてしまったが、仕方が無い。
ミリル、クライト、アレストの世界は今は土日にあたり、ゲームと勉強を必死で進めている。
それだけだ。何も書けない。
・・・やはり僕は未熟なのか・・・?
しかし、今はやるしかない。
どこまでも進めてやろうじゃないか、「Black World」を。
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後編へ続くっ!