№11

シャドウは、どうやらこの館の破壊にタイマー式のプラスティック爆弾を使用するとの事。
せいぜい2個か3個でも仕掛けておけば大丈夫だと思うのだが、ボロいクセして広い館なので、一応全ての階に設置をする。
設置した爆弾を一個でもタイマーを起動すれば連動して起動する仕掛けらしい。
というわけで、現在は3階と2階の大体の中心部分に――まぁ、大体は階段付近だが――爆弾を設置させ終えた。
そして現在1階。
「この辺りだな」
随分とテキパキ作業を進めている。私が爆弾なんて持っていたらとっとと警察署にでも投げ込んでやりたい気分だ。それこそ良くないが。


「お前か」

突如、背後から声が聞こえた。その瞬間にシャドウは腰にある銃を取り出し、振り向いて構えた。つられて私も振り返る。そこにいるのは……
「所長?」
なんとまぁ、ちゃっかり銃を構えつつある。
「あぁ」
何気なく答えた。
「麻酔銃ですか?」
何気なく聞いてみた。一度騙された後にまた騙されるのは勘弁願いたいし。それにこれ以上寝たら私の生活リズムの狂い様を直してくれるなんて人は……まぁそれはおいといて。
「何言ってんだ、列記とした実弾入りの銃だ」
よし、ひとまず信用してみよう。無用心とか言うな。

……しばらく沈黙が続いた。

所長とシャドウ、両者とも睨み合って……と思ったら両者ともあっさり表情を緩めた。
「Mk.23か」
不意にシャドウが発言した。まーくにじゅうさん? 銃の種類を言っているのだろうか。
「同じ銃か?」
所長がそう返す。確かに見たところ、多分同じ銃だ。私の視力はあくまでも両方2.0を保っている。断言してやる。
その会話を終えた後、ほぼ同タイミングで銃を回し始めた。いわゆる、ガンスピン……だったと思う。
つか、やけに高速。校則よりもタチが悪い。しかもお手玉のように扱い始めた。ガンプレイ云々の一種か。
しかも2人の行動にほぼズレがなく、一致している。生き別れの双子兄弟じゃないんだからとっとと撃ちあいでも始めて……ほしくないな。流れ弾で負傷なんて嫌だし。

んで、ようやく銃のお手玉劇が終わって。
……まぁなんだろう。本当は仲が良かった生き別れの戦友みたいに感じたのに、本当は生き別れた後に様々なドラマが展開されていたのかって感じなオチが……。
まぁ、簡潔に言おう。結局両者とも睨み合って銃口を向け合っているのだ。まぁ、適当に付け加えるとシャドウがニヤニヤで所長がムカムカなよーな。
「テメーはいつまでそーやって俺の目の前に現れては何をするのかわからねーんだからとっとと消え失せてくれませぬかね黒いハリネズミマスコットバージョン進化系チャオ殿?」
所長氏、もうめっちゃくちゃヤケになったよーに片言な口調でそう言い放った。さっきのムカムカオーラまでも堅苦しくなって、それでいて表情が恐ろしく引きつっているよーな。
「現れるのは哀悼の意を申し述べてやる。やる事は屋敷の破壊だ。それとこの進化系は一般的にシャドウチャオだ。早く覚えろ。脳がやけに小さいまま発達しないんだな」
「じゃかぁしい!! 何で俺がホコリより小さくならなくちゃならん!?」
シャドウ氏、虐めてます。っつーか所長氏、そんなに言ってないだろ。どっかのアニメキャラじゃあるまいし。
というか、
「あのー、何かご関係でも?」
「ないっ! 断言する! ないぃっ!!」
あっらぁー、ここ1週間では堕落した性格をしていると思ったのにこんな一面を持っているとは思わなかったぞ所長氏。
「で、シャドウさんはどうですか?」
折角だから満面笑顔90%で聞いてさしあげよう。折角のボーナスだ、きっと面白い関係のひとつやふたつあるに違いない。
うまく乗ってくれたか、苦笑混じりで、
「兄弟だ」


折角だから満面笑顔90%(やや硬直あり)で一時停止してさしあげてみた。




折角だからまんま硬直状態を保った笑顔で、
「兄弟?」
オウム返し。
「違うわ! お前思いっきり義兄だろがボケ!!」
「自白するな。結局兄弟だという事になるぞ?」
「仲がよさそーですね」
満面笑顔95%(めっちゃ硬直)で所長に振ってみた。
「お前、先に天国に潜入でもしてこい。支援は期待するなよ」
「お断りしまーす」
満面笑顔70%(ナイアガラ、もとい汗の滝付属)で丁寧に断ってみた。つか、本当に銃口向けてるんですけど。泣くぞ?


バンッ――

このページについて
掲載号
週刊チャオ第277号
ページ番号
12 / 17
この作品について
タイトル
小説事務所 「山荘の疑惑狂想曲」
作者
冬木野(冬きゅん,カズ,ソニカズ)
初回掲載
週刊チャオ第266号
最終掲載
週刊チャオ第287号
連載期間
約4ヵ月28日