逃亡編 第十章 とらわれの身

スピリチャル「・・・・おい、チャス、起きろ。」

チャス「・・・ここは?」

スピリチャル「わからない。ただ・・・一つわかることは、俺達二人はとらわれの身だってことだ。」

チャス「そうだ、あいつだ。・・・ルセアの兄、レイだ。」

スピリチャル「ちっ・・・あいつらの裏切りは本当のことじゃなかったのかよ。」

チャス「そうみたいだな。」

スピリチャルは、あたりを少し見回してみた。

スピリチャル達が目覚めたのは、暗い、地下の牢屋のようだ。

脱出の方法はないように思えた。

それにしても、スピリチャル達はどうしてこんなところにいるのだろうか?

チャス「見ろ、スピリチャル。電気にやられたようなあとがある。」

スピリチャル「俺もだ。・・・きっとあいつにやられたんだろうな。」

チャス「出られそうか?」

スピリチャル「いや、今は無駄な体力を使いたくない。それに、ここには食べ物どころか、水もないんだからな。」

チャス「まずは明け方をまとうぜ。光が差し込めば、出口が見つかるかも知れない。それに、食べ物のことは心配ないぜ。」

スピリチャル「・・・?どういうことだ?」

チャス「こういうことだ。」

チャスは、腰元をごそごそと探ったあと、一つの小さな包みを取り出した。

スピリチャル「おっ、いいもんもってんじゃん。」

チャス「だろ?『紅胞子』だ。結構いけるだろ?これ。」

チャスが取り出したのは『紅胞子』。別名、紅果実のシロップづけ。

ダークではポピュラーな保存食品で、小さく、栄養価も高いので、たいていの家で作ってある。赤い木の実を、特殊なシロップでにて作るのだ。

スピリチャル「俺のは取られたみたいだな。」

チャス「とにかく、これで明日をまとうぜ。」

スピリチャル達は、紅胞子を食べながら、夜明けを待ったのであった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ聖誕祭記念号
ページ番号
11 / 12
この作品について
タイトル
『四聖風雷伝』
作者
桜(フィルァ,チャチャ,飛諏珂)
初回掲載
2004年7月8日
最終掲載
週刊チャオ聖誕祭記念号
連載期間
約5ヵ月18日