逃亡編 第十章 とらわれの身
スピリチャル「・・・・おい、チャス、起きろ。」
チャス「・・・ここは?」
スピリチャル「わからない。ただ・・・一つわかることは、俺達二人はとらわれの身だってことだ。」
チャス「そうだ、あいつだ。・・・ルセアの兄、レイだ。」
スピリチャル「ちっ・・・あいつらの裏切りは本当のことじゃなかったのかよ。」
チャス「そうみたいだな。」
スピリチャルは、あたりを少し見回してみた。
スピリチャル達が目覚めたのは、暗い、地下の牢屋のようだ。
脱出の方法はないように思えた。
それにしても、スピリチャル達はどうしてこんなところにいるのだろうか?
チャス「見ろ、スピリチャル。電気にやられたようなあとがある。」
スピリチャル「俺もだ。・・・きっとあいつにやられたんだろうな。」
チャス「出られそうか?」
スピリチャル「いや、今は無駄な体力を使いたくない。それに、ここには食べ物どころか、水もないんだからな。」
チャス「まずは明け方をまとうぜ。光が差し込めば、出口が見つかるかも知れない。それに、食べ物のことは心配ないぜ。」
スピリチャル「・・・?どういうことだ?」
チャス「こういうことだ。」
チャスは、腰元をごそごそと探ったあと、一つの小さな包みを取り出した。
スピリチャル「おっ、いいもんもってんじゃん。」
チャス「だろ?『紅胞子』だ。結構いけるだろ?これ。」
チャスが取り出したのは『紅胞子』。別名、紅果実のシロップづけ。
ダークではポピュラーな保存食品で、小さく、栄養価も高いので、たいていの家で作ってある。赤い木の実を、特殊なシロップでにて作るのだ。
スピリチャル「俺のは取られたみたいだな。」
チャス「とにかく、これで明日をまとうぜ。」
スピリチャル達は、紅胞子を食べながら、夜明けを待ったのであった。