逃亡編 第十一章 救いの手
いつの間にか、二人は眠りに落ちていた。
あたりは少しずつ暗くなり、また明るくなってきていた。
スピリチャル「ん・・・朝か。」
二人は、スピリチャルが運良く持っていた油紙を外しはじめた。
ガサッ・・・ガさガサッ・・・
油紙は持ち運びに便利な防寒用の寝袋である。温暖なダークではあまり使うことはないが、セイントはダークと違って年中寒いのだ。
チャス「これもっててよかったな。」
スピリチャル「普段から寒いのに、今の時期は冬と来てる。これがなかったら今ごろ凍えてしまっていたかもしれないな。」
チャスは、あたりを見回してみた。体力も少しだが回復している。
と、その時だった。
ガコッ・・・
チャス「な・・・なんだ?」
牢屋の上の蓋らしきものが外されたのだ。昨日は見ることのできなかった強烈な太陽の光をうけ、二人の目はかすんだ。
チャス「誰だ・・・?」
???「俺だ。・・・わからないか。」
チャス「その声は・・・」
スピリチャル「お前・・・レイだな?よくも俺達を・・・」
レイ「まて、スピリチャル。話を聞け。」
チャス「人を気絶させておいて、よくもそんなことが言えるな?」
スピリチャル「起こるのはよそう、チャス。何か訳がありそうだ。」
レイ「お前達をここに入れたのは、他でもない俺だ。・・・だが、こうでもしない限り、お前達の命はなかった。」
スピリチャル「・・・?どういうことだ?」
レイ「詳しい話はあとだ。まずはここから出ろ。」
チャス「でるったって、出口はそんな高いところにしかないぞ?」
レイ「そこをまっすぐ行け。そこの壁にしかけがしてある。そこを押すんだ。」
チャス「まっすぐ進んで、押す・・と。」
ギィ・・・
二人「・・・?」
レイ「隠し扉だ。階段につながっている。上がれば、地面が上にあるはずだから、そこを叩け。」
スピリチャル「わかった。でも・・・なぜお前は俺たちを助けてくれるんだ?」
レイ「詳しい話は後だと言っている。・・・早くしろ。」
チャス「おーい、スピリチャル、あったぞー!」
スピリチャル「じゃぁな。あとで合流だ。」
レイ「早くしろよ。」