~太陽編~第四十三話 城の罠
太陽の国の離れ孤島から離れ、大陸へと移動するバレムたち。
その大都会で、ヴァルサと出会う。
さまざまな話しをしながらも、次の目的地、城へと向かう。
ジース「まだかよ!」
ゼキス「もう百回以上言ってるよ、その言葉。」
ジャロン「違う。1013回だ。―正確には千回以上といったほうが確実だな。」
落ち着いて言うジャロン。
さきほどの都会が見えなくなるほど進んだのに、城は近くならない。
いや、城が移動しているように見える。
バレム「ふう~。助け舟を出すかな。」
ジース「そうか。城は生きているんだ!」
びしっ!っと右腕を突き出すジース。
しかし、バレムは頭を横に振る。
バレム「違う。城はだな―」
ジャロン「ここだ」
声と同時に地面を指差すジャロン。
足元―?ゼキスは質問する。
ゼキス「なにもないよ?」
ジース「地面の中?」
バレム「罠だよ。地面にトラップがあって、・・・ルームランナーというやつだ。」
ジャロン「それに対して、高速で移動すればいい事。」
煙一つ立てずに、ジャロンが走っていく。
ジースたちもそれに続く。
着いたのは雲の上までいってしまいそうなほど大きい城。
バレム「入るぞ。」
何気に新しい城らしく、扉を開けてもギイイイという古臭い音はしなかった。
―はずだった。
ギイイではなかったが、ドゴオオという音がしたので、急いで走る。
ジャロン「なんだ?」
ジース「聞いてねえぞ!」
ゼキス「教えてくれるほど親切じゃないでしょ。」
走りながら会話するジースら。
だが・・・・・・
「フフフ。よくぞ参りました。龍輝神。」
バレム「龍輝神・・・・・・・・・・!」
モニターに移されたそのチャオは、ジースを指差す。
ジースは首をかしげる。
ジース「俺は龍輝神ってな名前じゃねえ!ジースだ!」
「・・・・」
沈黙だ。
だが、モニターのチャオは続ける。
「私のところまで来たら、この黒い子は返しましょう。」
ジース「な!ゼキス!」
モニターから出てきたアームにとらわれるゼキス。
中へと連れられてしまう。
ジャロン「いくぞバレム。」
バレム「(呼び捨てかよ)」
ジース「くっそぉ!」
階段を駆け上がるジース。
着いたのは何も無い空の部屋。
モニターにチャオが写る。
「第一回戦だ。こいつと戦え。」
天井にぽっかりと穴が開き、チャオが飛び降りてくる。
全身真っ黒なチャオ。
ジース「ゼキスか?」
バレム「人質を出すわけないだろう。」
ジャロン「名乗らないのならこちらから―」
ジャロンが話し始めた時には、そのチャオはいなくなっていた。
暗い城の中。どこへ隠れたかわからない。
だが、相手も条件は同じはず。
そう思ったジースは、無防備にも部屋の中央に立つ。
来た―!
上から迫ってきた敵は、ジースの腕で押さえられ、捕まえられる。
ジース「捉まえたぜ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
その黒いチャオは無言のまま、ジースを睨む。
すると、黒いチャオの体が分離し、腕が伸びた。
ジースは地面に叩きつけられる。
バレム「んなっ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ジャロン「サイボーグか。・・・・・・・いや、違う。」
ジース「弱点見つけたぜ・・・!」
体を倒れたまま回転させると、そのチャオはジャンプして避ける。
しかし、そのチャオはなぜか地面へ叩きつけられ、倒れこむ。
ジース「もっといくぜ!」
ジャロン「とどめは任せろ!」
ジースがけりを食らわそうとしたとき、横からジャロンが出てきた。
ジャロンは剣で黒いチャオを滅多切りにすると、剣を鞘に収める。
バレム「速いな―。」
ジャロン「見てみろ。こいつはチャオではない。」
その「チャオ」らしきものから出てきたものは、木。
忍術か、とジースは思ったが、バレムの一言で片付けられる。
バレム「成程。細胞核か。」
ジャロン「なんにしても、ほおっておくわけにはいかん。ゆくぞ。」
ジャロンが階段を駆け上がる。
続いてバレムたちも駆け上がっていく。
さて、三階・・・・・・・・
ジース「次の相手はどいつだ!」
「こいつだ。」
さきほどと同様、真っ黒なチャオが天井から出てくる。
ジースとジャロンは構えを取ると、かかっていく。
黒いチャオは・・・・急にいなくなり、ジースらの背後から出てくる。
バレム「無駄だな。これは数がどんどん増えていく戦法。―つまり、城の頂上には何も無い。」
なにを見てそう思ったのか、バレムが言う。
続けて・・・・・・
バレム「一階だ・・・・・・・!」
ジャロン「こいつらを片付けるぞジース!」
ジース「あたぼーよ!」
続く