~太陽編~第三十七話 不思議な火山
バレムは見知らぬ土地で眠ったまま三年・・・近くの年を過ごした。
そこは太陽の国のはるか遠くの火山島。
ドロックというチャオに助けられたバレムは、ゼキスという黒いチャオと、緑色のチャオに続き・・火山へ向かう。
黒色のチャオはおしゃべりだが、緑色のチャオは無口で何もしゃべらない。
バレム「どうして火山にかくしたんだ?」
ずっと気になってたことを率直に聞くバレム。
ゼキス「ある事情で、僕たちが火山を探っている時に落ちてきたんだよ。空から。」
成程。と呟くバレム。
空を飛んでいたのだから、空から落ちてくるのは普通だ。
珍しく、緑色のジャロンが口を開く。
ジャロン「実際には・・火山に落ちてしまっただけのことだけど。」
ゼキス「それをいったらお終いだよ。」
バレム「・・・・・・・・・・・」
声に出す言葉も無かった。
ただひたすら、愛用のギアソード(他の人が言うと歯車の剣)の無事を祈るだけだった。
あれやこれや話しているうち、火山の麓に着いた。
そこには洞窟・・・のような道があり、火山の地下に続いているようだ。
しかし上のほうは白い・・・山だ。
なぜだろうと疑問に思う暇も無く、洞窟に入っていく。
ジャロン「・・・・・・・・・・・・・・」
バレム「なんでこいつは無口なんだ?」
ゼキス「実を言うと・・僕たちと一緒にドロック小父さんと付いて来た友達がもう一人いて、その子が火山に落ちて・・・それをジャロンは助けられなかったから・・・」
バレムは大体理解できた。
というのも、よくある話だからだ。
しばらく歩いていくと、火口に着いた。
下のほうに、横穴がある。
バレム「まさかあそこに落ちたんじゃ・・・・・・」
ジャロン「ジース・・・」
ゼキラ「ジースが・・・いるの?」
ジャロンは耳を澄ます。(耳はないけど)
どうやら地下から音がするらしい。
壁をよじ降りて、横穴に入る。
バレム「入るのは平気そうだけど・・・出るのが辛そうだな。」
ゼキラ「見て!おじさん!」
まっすぐ正面・・・・・カプセルの中に捕らえられた赤い色のチャオ。
カプセルの中の緑色の液体がぶくぶくと泡を出し、そこからつながった線が、一つの龍につながっている。
そして、黒いチャオの後姿が見える。
「もう少し・・・・あと一の月が出るとき・・龍はよみがえる。」
ゼキス「あれは・・・!」
ジャロン「うっ」
ジャロンは頭を抱え、苦悩する。
まるで思い出したくない記憶が戻ってくるように、バレムには思えた。
自分が体験したことがあるからだ。
「ん?・・おお、あのときのジャロン君。そいえば君にも「アレ」が宿っていたな・・・」
ゼキス「アレ?!」
バレム「(こいつ・・・闇の力を使っているな。おそらくアレというのは・・・封印されし三十の悪魔のことか?)」
そのとき、ジャロンは子供チャオなので、まだ進化はしていなかったのだが、だんだんと姿が変わってくる。
ゼキス「!?」
バレム「奴から目をそらせ!」
バレムは抱え込むように倒れた。
危うく一命を取り留めたというところか・・・・
「もう少しだったが、龍は復活寸前だ。」
ゼキス「このお!」
ゼキスはカプセルのほうに突進していく。
だがつまづいて、カプセルを割ってしまった。
なんという奇跡・・・・・・・
「な!」
ジャロン「ジース!」
ジャロンはとっさにジースを助け出す。
そして、バレムの元へ戻る。
「く・・・後少しのところで・・・・・・」
ジース「う・・・・ううん?」
ジースの赤い色の体は・・・火山の熱気に当てられ、どんどん変わっていく。
そう。青に・・・・・
続く