~月編~第二話 幼体化拳法『腐心の拳』
ムーンは自分の剣、ミラフォースを、軍事秘密基地から返盗し、西の港町、フオウスへ向かう。
ムーン「でもなぁ・・・・結構遠いもんな・・・・どうするか・・・」
そんな風に考え事をしてるムーンの前に、全身を包帯で巻きつけた、暗いチャオが現れた。
???「月の子・・・・・・・・か・・・・・」
ムーン「おまえは・・・誰?」
ゼブル「私は・・・・・ゼブル・・・・」
そういうと、高く飛び上がってムーンに突進してきたので、ムーンは剣を抜いて避ける。
ムーン「いきなり何する!?」
ゼブル「力・・・いただく・・・・」
ムーン「アルティメット―
そのとき、ムーンは背後を取られ、何かをされる。と、自慢のムーン色の肌が、輝きをうしなっていく。
ゼブル「さらばだ―」
ムーン「ぐう・・・・・なにをおおおお・・・・した・・・・」
ムーンはそのまま倒れてしまい、気がついたら見知らぬところにいた。
????「起きたか・・・・・・」
いきなり現れたチャオは、グレーのダークオヨギ。
ムーン「君は?助けてくれたの?」
????「助けるも何も、お前が俺の家の前に倒れてるからな。」
ムーン「僕が・・・・・・・・・?」
デュアル「紹介が遅れたな。俺はデュアル。お前は?」
突然の質問に、ムーンは驚く。なぜなら、この世界でムーンを知っていない者など、いないはず。
ムーン「えっと、僕は見て分からない?」
デュアル「いや、偉大なる月の子様かと思ったら、子供チャオだったし。」
ムーン「子供チャオ!?」
急いでムーンは剣の反射で自分を見る。すると、後ろ髪がなかった。
デュアル「事情を説明しろ。」
ムーン「僕は正真正銘、ムーン。さっきの包帯男が僕に何かしたようだけど・・・
デュアル「やはりな。」
見透かしたような表情で、デュアルはつぶやく。
ムーン「何か知ってるの?」
デュアル「俺もそいつに、お前と同じ技をやられた。それは『腐心の拳』という技だ。どんなやつでも、幼体に戻ってしまう。」
ムーン「元に戻る方法は・・・・?」
デュアル「ここから南の、「主流山」というところにある、泉の水を飲めば助かるのだが・・・俺が案内しよう。」
地図を見て、場所を確認すると、ミラフォースを持ち上げて、腰に背負う。
ムーン「じゃあ、早速いこう。」
デュアル「今のお前じゃ、戦えないはず。なにせ、月の子とはいえ、幼体だからな。いくぞ。」
その部屋の天井裏に飛び移り、抜け道の洞窟から、家を抜け出す。
ムーン「なんで普通に出ないの?」
デュアル「家の前で戦ったのだろう?まだそいつがいるかもしれん。」
ムーン「さっき君も、あの、腐心の拳ってのをやられたといってたけど・・・」
腐心の拳は、どんなものでも幼体化させてしまう技である。
デュアル「ああ。そいつは俺の命を狙っている。・・・追加しておくが、お前の正体は、月の子だと知られない方がいい。」
ムーン「どうして?」
デュアル「月の子は組織等からも狙われているからな。もし公の場で言ったら、大変な事になるぞ。」
広い草原の道を歩きながら話し合う。そして、ムーンはさっきの地図を取り出す。
ムーン「ここからさきへいくと、主流山のふもとに、小さな村があるね。」
デュアル「スロン村か。そこには俺の知り合いがいるな。よし。急ぐぞ。」
だんだんと進んでいくと、風が強まる。それから、霧の中に囲まれた、大きな山が見えた。
ムーン「あそこがスロン村・・・・・霧に囲まれてるね。」
デュアル「無警戒で入ると、やばいぞ。いいか?村に入ったら、大きな木が見える。そこから北東へ行ったところの家で待ち合わせるぞ。」
ムーン「ん?だんだん霧が深・・・あれ・・デュアルは?」
ムーンはひたすら前へ進んでいくと、大きな木が見えてくる。だが、デュアルの姿は見当たらない。
「くくく・・・デュアル・・・排除・・・する・・」
ムーン「あれ?上のほうからなんか声が・・・・気のせいか。えと、北東だな。」
大木を手で触れて確認すると、そこから右斜め前へと進んでいく。と、小さな一軒家が見えた。
???「またわたしの勝ちアル!」
その小さな一軒家から聞こえてくる声は、少し高い声だ。
ムーン「ここだな。おじゃましま・・・・・す」
デュアル「あ・・・・・・・・・」
続く