第二十一話 『亀裂』
神聖なる物語 第二十一話 『亀裂』
ジュエチャとレッドメアは戦っていた。
何故こんなことになるのかエルのは分からなかった。
数分前――
「何度言ったら分かる。シルヴァが関係してくるだろうと。」
「うるせえ!!チャオリンを探す方が先だ!!」
二人が何故喧嘩をしているか。前話をみれば分かるだろう。
チャオリンが何者かに誘拐され、レッドメアが先に探そうと提案したのだが――
ジュエチャはそれを否定した。
シルヴァの場所は分かっている。チャオリンとも何か関係してくるだろう・・・・と。
しかし、レッドメアは納得いかなかった。
チャオリンの場所は分からないが、今シルヴァと戦っても負けるに決まっている。
チャオリンだけを探す方が安全だと考えた。シルヴァがチャオリンと関係してるかも分からない。
そうして、大喧嘩になったのだ。
状況はレッドメアが有利。元はガキ大将だったからだろうか。
ジュエチャは元から喧嘩は得意な方ではなかった。
それはレッドメアのことを思ったからかもしれない。
一方レッドメアは殴る、蹴るを繰り返していた。
ジュエチャは全て避けていたようだが、それでもやめなかった。
「このっ!くそっ!」
「レッドメア!!」
ジュエチャはレッドメアの腕を掴み、顔を寄せた。
「まだ分からないか!これ以上は無駄だ!!」
「分からねえよ!このクソ野郎!!」
レッドメアは剣を持った。それはもうブチ切れた証拠でもあった。
レッドメアは剣をブンブン振り回した。もちろん当たる筈もない。
「・・・・。」
「ハァッ!」
ここまではエルの記憶――。
そして不意にレッドメアに隙が出来た。
ジュエチャはレッドメアの胸に手の平を当てた。気候みたいなものだ。
レッドメアはすぐ倒れた。倒れ際に何か言っていたようだが、ジュエチャには聞こえなかった。
「エル・・・・。」
ジュエチャはエルの方を向く。何を伝えたいかはすぐにエルには分かった。
「ジュエチャ・・・・。」
続く