第十九話 『蛇』
神聖なる物語 第十九話 『蛇』
「此処か・・・。」
「ジュエチャ、もう後戻りはしないよな?」
レッドメアが呟く。
「どちらにしろ、出来ないわよ。」
エルがそう言うのも無理はない、そこには巨大が穴があり、中は暗く、入ったら戻れないだろう。
しかも、シルヴァが通った階段が見当たらない。
「後戻りする気はないがな。」
「そう言うと思った。」
「穴の奥から何か来るぞ!」
レッドメアが叫ぶ。
ドーン!と地響きがし、辺りは砂煙に覆われた。
「な・・・なんだ!?」
「誰かいる・・・!!」
一人や二人どころの殺気ではない。ビリビリと感じるものがあった。
煙の中から姿を現したのは・・
――アルルだった。
「ア、アルルさん!?」
レッドメアがさんを付けているのは、とりあえず命を助けてもらったからだろう。
「まさか、アイツが来るとは・・。」
だが、煙の中から見えたのは、以前のアルルでは無かった。
無残にも服は破け、アルルの方も放心状態だった。
そして、そのアルルの後ろには――
「「シルヴァ!!」」
レッドメアとエルが同時に言う。
「そうか、あの殺気はお前の物だったか・・・シルヴァ!」
「ジュエチャ、今日はお前達と戦うために来たのではない。」
「何!?」
「こいつが相手だ。」
シルヴァが指差した方向には・・・やはりアルルがいた。
「アルルさん!!嘘でしょ!?」
「無駄だ、レッドメア。こいつには洗脳が施してある。俺に刃向おうとして半死状態だがな・・・。ハハハハハ!」
「俺はひとまず帰らしてもらう。アルル、良い返事をまっているぞ。」
再び砂嵐が起こり、シルヴァは消えていた。
そして、アルルのも変化が起こっていた。真紅の目は緑になり、長い髪は蛇と化していた。
「ちっ・・・・。」
「レッドメア!迷っている暇は無い!一気にかかるぞ!」
「で、でもよぉ・・・。」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!来るわよ!」
アルルが構えると、刀が出現した。刀には『ZERO』と書いてある。
「・・・・ヒューザー!!」
アルルはジュエチャ達から少しばかり離れていたが、間合いはもはや関係なかった。
刀の先から吹雪が発生し、ホーミング状態でジュエチャ達に襲い掛かってきた。
エルとジュエチャは間一髪避けられたものの、レッドメアはもろに受けてしまった。
「レッドメア!!」
エルが攻撃をかわしながら言う。
「お前・・・・。」
ジュエチャはレッドメアから何かを感じ取ったようだ。
「へ・・・へへ。身体の芯から氷っちまうようだ・・・。後は頼んだぜ・・・。」
「必ず助けるからな・・・待っていろ!」
「・・・・・・・。」
エルはレッドメアが持っていた剣を持ち、構えを取った。
――最終奥義爆裂烈火斬
エルの放った奥義がアルルの身体を真一文字に切り裂いた。
そして、アルルの身体も宙に高く舞った。
そして、アルルの身体が地面に落ちる前・・・アルルの身体が元に戻り、微かに
「ありがとう・・・。」
の言葉がエルの耳に入った。
続く