第11話:島の危機(後編)

「サイオン! 大丈夫か!?」


銃弾を腹に受け、動かなくなったサイオンの身体のそばでアポロが叫んだ。
しかし、それがいけなかった。
銃を持った人間達がアポロ達の所までやって来たのだ。


「何だ………チャオか……つまんねぇな。」

「ん! 一緒にいるのは『ライトカオス』じゃねえか?」

「マジ? 捕まえたら高く売れるんじゃない?」


そう言うと人間達はアポロ銃口を向けた。


「殺すなよ。生け捕りにするんだ。」


銃を構えていない人間が言った。
そして銃を持つ人間の指が銃の引き金にかかる……。


「させるかぁぁ!」


雄叫びと共にアポロの後ろの草むらから何かが飛び出した。
それは黒いチャオ…ダークカオスだった。
彼の名前はハデス。アポロと共にこの島に棲んだ最初のチャオの内の1匹だった。
彼は先程の銃声を聞き、急いで駆けつけたのだった。

そしてハデスの跳び蹴りが銃を構えた人間に激しく当たった。


「どんなもんだ! 大丈夫か、アポロ。」


しかし、喜ぶにはまだ早かった。
もう1人の人間が銃をハデスの方に向けている。


「チャオが生意気な…………イテッ!」


反対側の草むらから石が何個も飛び出してきて、人間達に当たった。
人間達がひるんでいる隙に、草むらから1匹のチャオが飛び出してきた。
彼女の名はセレネ。彼女もまたこの島に最初に棲んだチャオの1匹だった。
セレネはハデスとアポロ、そしてサイオンのもとに駆け寄った。


「成程…そう言うことだったのか。」

「とにかく、この人間達を何とかしなきゃ、彼も助からないわ。」


アポロから事情を聞いたハデスとセレネは人間達の方を向いた。


「チャオに手を挙げるなど……許せない!」


そう叫ぶとハデス・セレネ・アポロの3匹は人間達の方に飛びかかっていった。

<第12話に続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第43号
ページ番号
13 / 18
この作品について
タイトル
Shangli-La ~楽園を目指して~
作者
NORIMARO
初回掲載
週刊チャオ第31号
最終掲載
週刊チャオ第47号
連載期間
約3ヵ月23日