第10話:チャオの島(前編)
【前回までのあらすじ】
チャオの森を目指して旅をする野良チャオ・サイオン。
道中であったポポというチャオを連れてテイルスの家に向かい、
テイルスに究極のレシピをプレゼントできた。
しかし、ポポの作った料理は想像を絶するほど不味かった。
ポポの前で「不味い」と言うわけにもいかず、
結局ぜんぶ食べる羽目になったテイルスとサイオンであった。
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その夜、サイオンはテイルスの家に泊めてもらうことにした。
深夜、ポポは既に眠ってしまい、サイオンはテイルスと話をしていた。
そしてサイオンはテイルスに、ポポを連れてきた経緯を話した。
「そうか、君がポポを連れてきてくれたんだね。ありがとう。」
「いえいえ。それより……。」
サイオンは一か八か、テイルスにチャオの森のことを尋ねた。
「何処にあるかは知らないなぁ……。………あっ! そう言えば!」
そう言うとテイルスは研究室に走っていった。
しばらくすると、彼は2枚の紙を持って帰ってきた。
「これは、この惑星の同じ地域を撮った衛星写真なんだけど……。
右が1ヶ月前、左が1週間前の物なんだ。」
サイオンはその写真をのぞき込んだ。
写真をよく見ると、左側の写真の下の方にある島が、右側の写真には無かった。
「陸地ができる要素はこの海域には見あたらなかったし……。
チャオの森には今まで人が足を踏み入れたことが無い。
もしかしたら、チャオの森に関係あるのかも知れないよ。」
テイルスはサイオンにその場所を詳しく教えた。
彼はその島に探索に行く気はあったのだが、新しいメカの開発で忙しい。
サイオンはテイルスにその島に行って、そこであったことを教えると約束した。
翌朝、サイオンはテイルスとポポに見送られて出発した。
その際、テイルスはコンパスと地図をサイオンに手渡した。
ポポを連れて帰ってくれたお礼だと言う。
サイオンはそれをありがたく受け取った。
その島はミスティックルーインから南に100km程行った所だそうだ。
サイオンは小さい島は島伝いに飛び、比較的大きい島では歩いて距離を稼いだ。
そしてミスティックルイーンを出発してから5日後、遂に目的の島らしき場所にたどり着いた。
サイオンは早速島に降り立ち、探索を始めた。
島は丈の低い木や草に覆われていたが、森というには程遠いものであった。
島の中央には山地が連なり、その大きさは島の面積の3分の2を占めるほどだった。
「森は………無いか。もう少し奥まで行ってみるか。」
サイオンがそう呟いた矢先、左右の草むらから何かの気配がした。
彼に対してかどうかは分からないが、明らかに敵意のある気配だった。
サイオンはいつでも戦えるように身構えた。
そして、左右の草むらから同時に何かが姿を現した。
それは…………チャオであった。
2匹のチャオが、丁度サイオンを挟むような形で向かい合っていた。
片方はヒーローチャオ、もう片方はダークチャオだった。
しかも他のチャオとは違う。それは目映く輝くチャオだった。
『チャオの究極進化形、カオスチャオ』
サイオンは噂には聞いていたが、実物を見たのは初めてであった。
<第10話後編に続く>