第9話:試食タイム
「何………これ?」
料理が出てくるや否や、テイルスはそう呟いた。
「なにって、『きゅうきょくのレシピ』チャオよ。」
ポポは得意気に答えた。
その目は何かを達成した喜びに満ちていた。
そしてそれは、無言で「はやく たべてみるチャオ!」と促しているようでもあった。
サイオンはその料理をスプーンで掬い上げた。
「この黒いのは………カボチャか?」
「何だろうね……ミンチみたいなのが入ってるけど………」
サイオンとテイルスは口々に言った。
その料理は見た目からして不味そうだったのだ。
「どうしたチャオ? たべないチャオか?」
「いや………食べるよ。(テイルス……同時に食べるぞ…。)」
「(分かった…同時だね。せーのっ!)」
2人は同時に料理を口に入れた。
「(し……しょっぱい。それに、辛い。)」
「(きっと塩と胡椒の入れすぎだよ……。この薬っぽい味と臭いは何だろ?)」
「(ポポが持っていた、『モノメイト』とか言う液体じゃないのか?)」
サイオンとテイルスはヒソヒソと話していた。
しかし、ポポに対して何か言うわけではない。
それにたまりかねて、ポポが半泣きになって尋ねた。
「ポポの りょうり、まずいチャオか………?」
それを見たサイオンとテイルスは驚いた。
そしてそれぞれの心の中で激しい葛藤が渦巻いていた。
ここは本音を言うべきか……それとも嘘でも「美味い」と言うべきか……
数秒後、テイルスとサイオンは意を決し、そして同時に言った。
「美味いぞ。」
「とっても美味しいよ。」
それを聞いたポポは、「待ってました」とばかりに台所へ走った。
そしてしばらくすると戻ってきた。………大鍋を抱えて。
「よかったチャオ~。いっぱいつくったから、どんどん オカワリするチャオ!」
「いや………もうこれだけで十分……ねぇ、サイオン?」
しかしポポは、またもや半泣きになって言った。
「…………ポポの りょうり、まずいチャオか~………?」
結局、テイルスとサイオンは大鍋一杯の料理を残さず食べる羽目になった。
……「究極のレシピ」の真の味はご想像にお任せする。
<第10話に続く>
【後記】
約束通り、2週越しの復活!
今までの話は「ホームページ」クリックで。
因みに、ポポが犯した主な失敗は次の通り。
・ラッピーの肉とおばけカボチャの下ごしらえのミス
・おばけカボチャを裏漉ししなかった上に、ミルクでのばすことを忘れていた。
・塩を玉杓子1杯(ポポは「大さじ」と思った)入れた。
・胡椒とモノメイトを一瓶入れてしまった。
・焦がした