第6話:置き去りし過去

【前回までのあらすじ】
チャオの森を目指して旅をするチャオ・サイオン。
道中出会ったポポというチャオと、街のホテルにあるガーデンで夜を明かすことに。
深夜、ガーデンを抜け出してホテルの屋上に上ったサイオン。
彼の胸に4年前、彼が孤独になったときの記憶が去来する。
(「ホームページ」クリックで第5話以前も読めるようにしました。)

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過去を思い出していたサイオンは、背後に隠れている何かに気づいた。


「隠れてないで、出てきたらどうなんだ?」


現れたのは全身真っ黒なチャオ。ガーデンには居なかったチャオだ。
彼の名はチャクロン。チャオレースの走者として雇われている。
チャクロンはサイオンのそばに寄り、サイオンに話しかけた。


「………勝手にガーデンを抜け出して、どうしたんだ?」

「ジッとしてられなくてね……。
 4年ぶりに…この街…ステーションスクエアに帰ってきたから……。」

「4年振り………? 何故そんなに長い間、この街を離れていたんだ?」


サイオンは黙っていた。その様子を見てチャクロンは言った。


「あ………言いたくないなら、良いんだが。」


しかし、サイオンはしばらくすると静かに口を開いた。


「俺は昔、この街に住んでいた。生まれた頃は人間の家に飼われていたんだ。
 3歳くらいの時にこのホテルができて、俺はここのチャオガーデンに移された。
 それから数年後……今から4年前だ……あの事件が起きたのは………。」


4年前のある日、突如巨大な津波が発生した。
津波はサイオンが住んでいたホテルは勿論、街の全てを押し流してしまった。
その時サイオンは波にさらわれ、気が付くと見たこともない街の海岸に流れ着いていたのだった。

それからサイオンの野良生活は始まった。
初めはエサを手に入れることもままならず、何度も死にそうな思いをした。


「俺は生きたかった……いや、生きなければならなかった。」


生きて、もう一度飼い主に会うんだ。サイオンはその思いだけで生きていた。
しかし、しばらくすると、彼の目標はすでに飼い主に会うことではなくなっていた。
「もし飼い主が生きていても、きっと自分のことを忘れているだろう。」そう思うようになった。
いや、むしろ「忘れて欲しい」と思っていた程だった。

そして1年前、サイオンは「チャオの森」の噂を聞いたのだった。
楽に暮らしたいとか、そういった物ではない、得体の知れない魅力に彼は惹かれた。


「それで、こうしてここまで来たって訳だ。まさかこの街に来るとは思わなかったけどな。」


サイオンは話し終えると欠伸をしながら下の階に戻る階段に向かった。
そして扉の前で立ち止まって、チャクロンに向かって言った。


「ありがとう……聞いてくれて。話したらすっきりしたよ。」

<第7話に続く>

【後記】
なんだかんだで第6話。遂にサイオンの過去が明かされました。
SA1をやったことのある方は津波の原因が何かお分かりでしょう。
さて、次回はついにテイルスの家(本当は「工房」)に到着します!

【登場チャオの紹介】
名前:チャクロン
年齢:不詳
種類:NNN(黒)
備考:チャオレースに登場するライバルで、SA1の時は一定条件を満たすと現れた。
   「オヤヂ寝そべり」で余裕を見せつけ、猛烈なダッシュで華麗に勝利していた。
   ステータスを最強にしないと恐らく勝てない程、強い相手だった。
   2にも一応出てきているが、かなり弱体化している。残念!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第36号
ページ番号
6 / 18
この作品について
タイトル
Shangli-La ~楽園を目指して~
作者
NORIMARO
初回掲載
週刊チャオ第31号
最終掲載
週刊チャオ第47号
連載期間
約3ヵ月23日