第5話:街の灯
【前回までのあらすじ】
チャオの森を目指して旅をするチャオ・サイオン。
道中出会ったポポというヒーローチャオと一緒にテイルスの家へと向かう。
歩き始めて3日、この日は大きなビジネス街で夜を明かすことにした。
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サイオン達は一晩休むことのできる場所を探して街を歩いていた。
サイオンは以前来たことがあったかのようにスイスイと街を歩いていく。
「つかれたチャオ~。おなかすいたチャオ~。
………………! モノメイト、おいしそうチャオね~。」
バス停のベンチで一休みしていると、ポポが自分の荷物からモノメイトを取り出した。
『きゅうきょくのレシピ』の為に宇宙から持ってきたものだ。
「飲むなよ。テイルスのために貰ってきたんだろ?」
「そうだったチャオ。あやうく、のんじゃう ところだったチャオ。」
太陽が傾き、辺りが夕焼けに包まれた頃、サイオン達は海辺のリゾート地にやって来た。
「日が暮れてきたな。…………ん!? あれは……。」
サイオンは海辺に建っている大きな建物を見つけた。
その建物はリゾートホテル。観光に来た人間が泊まる場所だった。
「もしかしたら……まだあるかも……」
そう言うとサイオンはその建物に向かって走り出した。
ポポも急いでその後を追った。
「おやおや、君たち、飼い主とはぐれちゃったのかな?」
サイオンが入ってくるなり、ホテルの支配人が話しかけてきた。
「いえ……すみませんが、このホテルにチャオガーデンはありますか?」
「あるよ。そこのエレベーターを上がった先だけど、どうしたんだい?」
「それが………。」
サイオンは支配人に事情を話し、今夜一晩ガーデンに泊めて欲しいとお願いした。
支配人は快く引き受け、サイオン達をガーデンに案内してくれた。
「ひさびさのガーデン チャオね! こんやはグッスリ ねられるチャオ!」
ポポはガーデンを見て大はしゃぎだ。
一方サイオンは、ガーデンを歩き回りながら呟いた。
「………本当に久しぶりだな………。」
夜、すっかりガーデンにいるチャオと仲良くなったポポはグッスリ眠っている。
一方、サイオンはこっそりガーデンを抜け出してホテルの屋上にやってきた。
眼下には、サイオンが居た街とはまた違ったネオン光がきらめいている。
「この夜景を見るのも4年ぶりか……。多少は変わったが……殆ど昔と同じだ……。」
サイオンの胸に4年前の……自分が孤独になったときの記憶が浮かんできた。
<第6話に続く>
【後記】
鋭い人ならこの街が何処であるか、既にお分かりかと思います。
そして、サイオンが何故野良になったかも見当が付くはず。
さて、次回は遂にサイオンの過去が明かされます。