第三章 ~半透明~ 六話

部屋に戻ると、電気は元通りになっていた。
カーテンを開けっ放しにしておいたので、太陽の光が入ってきている。
そのせいで、部屋の電気はあまり役に立っていないようにも見えた。
結局、ラインは部屋の電気のスイッチをOFFにした。

シャドウ「僕達も部屋に戻ろうか。」

マッスル「そうだな、電気も消し忘れてたしな。」

ライン「そっか。そんじゃ、また後でな。」

シャドウ達は部屋を出て行き、部屋にはラインとバウスの二人だけになった。
ラインは、窓を覗いて海を見た。
海の男に言われたことを理解しようと試みているようだ。
しかし、少し気を抜けば言われた言葉はたちまち記号化してしまう。
そして、一つため息をついた後、ただただ海を眺めることにした。

バウス「ライン。」

バウスの言葉にラインは振り返りもせずに「ん~?」といった返事をした。

バウス「あの男が言ってたこと自体はそんなに難しくないんじゃぞ?
    要はあの男が大きくてキレイな心を持ちたいということじゃ。
    荒れたら自分でどうにかする。
    お前が海を見ていて、同じことを感じるのは難しいと思うの。
    お前は海を見てどう感じる?」

そういわれたラインは、しばらく黙って海を見ていた。
返事がないので、聞いていないのかとバウスが思った頃に返事が返ってきた。

ライン「自由だ。」

ただ一言、そう言い切った。
バウスは、暴れん坊で単細胞のラインからは
「デカい」などの答えが返って来るのを予想していたので意外そうな顔をした。
もちろん、ラインは海を見ているのでバウスの表情は見えない。

バウス「・・・それならそれがお前にとっての海ということじゃ。」

バウスはラインの両肩に手を置き、軽くマッサージをした。
ラインは驚いて振り向き「な、何だよ。」と言った。

バウス「お前が成長したご褒美じゃ。ベッドに寝転がれ。マッサージしてやろう。」

ラインは何が何だか分からないまま、ベッドでうつ伏せの態勢になった。
そしてマッサージされながら、深い眠りに落ちていった。


続く...

このページについて
掲載日
2009年1月10日
ページ番号
197 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日