第三章 ~半透明~ 四話
ライン「ったく、トラブルか?」
部屋の電気が消え、光はカーテンが閉めてある窓からの太陽の光だけとなった。
カーテンが閉めてあるので、部屋は薄暗い。
ラインがカーテンを開けると、部屋は電気が点いていた時よりも明るくなった。
丁度その頃、船内にアナウンスが流れた。
アナウンス「旅客船フロウリー号をご利用していただき、ありがとうございます。
ただ今、各部屋の電気をコントロールするパネルに軽い異常が見られました。
復旧までには10分程度かかる見込みですので、どうかご了承ください。
また、テレビゲームをプレイされていてセーブをされていない方がいましたら、
申し訳ございませんでした。」
マッスル「なんてピンポイントな謝罪なんだ。」
バウス「まぁ、気分転換に甲板にでも行こう。」
そして、シャドウ達は甲板に向かった。
途中、甲板に向かう他の乗客が部屋から出てくるのを見かけた。
電気のストップは気分転換する良い機会になったようだ。
甲板へ出ると、やはり潮の匂いが最初に感じられた。
そして、次に美しい海が視界に飛び込んできた。
部屋の窓から見る海よりも、海の上の自分を感じられた。
甲板の上を4人で歩いていると、いかにも海が好きそうな男に話し掛けられた。
見たところ、青色で、ニュートラルチカラタイプオヨギ二次進化のようだ。
海や船の上がとても似合う男と、誰もが感じるだろうと思える雰囲気だった。
海の男さん「アンタら、変わった組み合わせだね。なかなか面白そうなパーティだ。」
マッスル「ん、そうか?そっちこそ、青の体にチカラタイプなんて珍しい感じがするな。」
海の男さん「はは、確かにそれはよく言われるなぁ。・・・それで、そこの黒いのに腕相撲を申し込みたいんだけど、いいかな?」
そこの黒いの。
普段ならシャドウを指して使われることが多い言葉だが、今回は明らかに視線がラインに向けられていた。
それに、腕相撲を申し込まれるというのならば、基本的には見た目がガッチリとしているマッスルが多い。
このパーティを見てラインに申し込むということは、この海の男は変わり者なのだろう。
マッスル「ラインに力で押していくイメージはないけど、逆に見てみたいな。」
シャドウ「受けてみたらどうだ。」
ライン「当たり前だろ?悪いけど、負ける気が全然しねぇぜ。」
海の男さん「なかなか言うね。でも俺もなかなか強いぜ?」
そして、二人は近くの小さなテーブルがあるところへ行き、スタンバイをした。
見た目では明らかに海の男の方がガッチリしている。
それでもラインはシャークマウスをギラギラ輝かせている。
それを見てバウスは、この海の男はサメみたいな口をしているというだけでラインを選んだのではないかと思った。
おそらくは正解だろう。
スタンバイをする二人を見たマッスルは、ひそひそとバウスに尋ねた。
マッスル「ラインって力は強いのか?」
バウス「まぁ、バケモノじゃ。」
マッスル「ふーん。」
そして、二人の腕相撲は始まった。
続く...