第三章 ~半透明~ 三話
マッスル「天井があって良かった、ってさ。」
マッスルは天井を見ながら言った。
マッスル「夢から覚める時、空に落ちていくような感覚があって・・・。
天井があったら引っ掛かるじゃん?」
マッスルは笑いながら言った。
シャドウはそれとは対照的に、気難しそうな顔をしていた。
シャドウ「そうか・・・。僕にも変な浮遊感はあった。
ただ、天井に対しては特に何も思わなかったな。」
マッスル「そうか?俺は寝る前と同じで、そこに天井がなくちゃいけないって感じがしたなぁ。」
シャドウ「確かに、それもそうだな。」
そして、ふとマッスルが気付く。
マッスル「シャドウ・・・。何で泣いてるんだ?」
シャドウ「泣いてる?」
シャドウが目元を手で拭うと、確かに涙が出ていた。
シャドウは、何故涙が出ているのか分からないといった様子で濡れた手を見る。
シャドウ「気が付かなかった。」
マッスル「いや、もしかしたらまだ眠いだけかも知れないしな。
眠気覚ましにライン達のところでも行かないか?」
シャドウ「あ、あぁ。」
そして、二人は部屋を出て、廊下を歩いてエイリア達の部屋を通り過ぎてもう一つ隣の部屋へと行く。
通り過ぎるとき「マッスル」と「殺す」という単語が聞こえてきた。
アウトだったようだ。
ラインとバウスの部屋に入ると、
ベッドの間で向かい合ってジャンケンをしているラインとバウスを見つけた。
何故かバウスの顔は真っ赤だ。あと、少しフラフラしてる。
二人は見ていて気付いたが、コレはジャンケンで勝ったら相手の顔をビンタするゲームらしい。
どういう訳だか、バウスが全敗している。
ビンタの乾いた音が部屋に響き渡る。
シャドウとマッスルが近づくと、ラインとバウスは気付いてゲームを中断した。
マッスル「楽しそうだな。ライン。」
ライン「あぁ、こんなストレス解消できるなんて最高だぜ。」
どうやら、ビンタするのが当たり前になっていて、
自分が負けてないことにすら気付いてないらしい。
マッスルは、そのことを小さな声でバウスに聞いてみた。
マッスル「何で全部負けてるんだ?」
バウス「高速で後出ししてるからじゃ。」
マッスル「何で?」
バウス「勝ったら撃たれる。」
マッスル「・・・そうだね。」
バウス「始めの方に、本当に3連続で負けたのじゃが、
そこでやっと勝ったら撃たれる事に気付いて運が良いことを実感したよ。」
マッスル「・・・このゲームの利点は?」
バウス「生きてることを実感できる。」
マッスル「ポジティヴだね。」
そこで、ラインがマッスルに話し掛けた。
ライン「何の話だ?」
マッスル「俺もこのゲームやりたいなぁって話してたんだよ。コツ(生きる)を教えてもらった。」
ライン「でもマッスルがやったら相手が死んじまうだろ。」
マッスル「まぁな。でもシャドウなら大丈夫だろ。」
シャドウ「僕もやるのか?だが、ルールが分からない。」
マッスル「分かった、教えるよ。」
マッスルはシャドウにこのゲームのルールを教え始めた。
だが、丁度その時、部屋の電気が消えた。
続く...