第三章 ~半透明~ 二話

部屋の隅で丸まって防御態勢になっていたナイツとナイリアも、
その部屋の雰囲気の変化に気付いてシャドウの返事を聞きにきた。
だが、シャドウの言うことは至って普通だ。「どっちもどっちだ。」と。
納得していないように見えるエイリアに、シャドウは言う。

シャドウ「原因は我慢できなかったエイリアだ。
      だが、怒らせるようなことをしたラルドも悪い。違うか?」

やはり至って普通だった。
ただ、二人の悪い点をちゃんとついているので、二人は言い返せなかった。
ラルドは自分が悪いことを分かっていたので尚更だ。
エイリアはボソボソと「じゃあどうすれば良かったんだよ・・・。」というが、
シャドウの耳にはバッチリ届いていた。

シャドウ「ラルドはエイリアの心を読める訳ではないのだから、
      上手く言い訳をして逃げれば良かったのではないか?
      挑発的な言い方を柔らかく言い換えても良かった。
      そのまま我慢し続けて励まし続けても良かった。
      ナイツやマッスルに助けを・・・・・・。」

エイリア「ごめんなさい。」

シャドウの想像力から出てきた槍のような色々な方法に、エイリアは土下座した。
そんなエイリアを見て、ラルドはエイリアに謝った。
エイリアもラルドを許し、すぐに二人の喧嘩は収まったのだった。

シャドウは一息ついて、マッスルと共に部屋に戻った。
部屋に入る時、マッスルがシャドウに言った。

マッスル「さすがシャドウだな。あんな怪物をよく飼いならせるな。」

二人は部屋に入り、ドアを閉めた。
マッスルは、閉めるタイミングを少し間違えたと思い、死にたくなった。

シャドウ「何を言っているんだ。あの状況なら二人が悪いのは当然だ。
      マッスルが言えば良かったじゃないか。」

マッスル「俺が言ったら、ラルドにサイドエネルギー撃たれて、
      エイリアに体中の水分吸い取られて干からびて死ぬ。」

シャドウ「エイリアにそんな能力あったか?」

マッスル「俺の脳内のエイリアは何でも出来る。あいつら二人とも怖すぎる。」

シャドウ「そうなのか?」

そして、二人は自分のベッドに座った。
マッスルは疲れたといったように、ベッドに後ろ向きで倒れ込む。
それと、部屋に入る時に言った言葉はセーフだったようで、安心した。
シャドウもマッスルがしたように、後ろ向きでベッドに倒れ込んだ。

シャドウ「・・・怖いと言えば。」

マッスル「ん?」

シャドウ「さっきまで、凄く恐ろしい夢を見ていたような気がする。」

マッスル「エイリアとラルドのことか?アレは夢じゃないぞ。」

シャドウ「違う。」

マッスル「アレは実は全て僕の夢だった、とか?」

シャドウ「そうじゃない。」

マッスル「教えてください。」

シャドウ「眠っていた時の夢のことだ。どんな夢だったかは覚えていないが。」

マッスル「あぁ。そういうことか。
      ・・・俺も、凄く怖い夢を見ていたような気がする。
      そんで俺、起きた時に思ったんだけどさ・・・。」

シャドウ「?」


続く...

このページについて
掲載号
チャオ生誕10周年記念特別号
ページ番号
193 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日