第三章 ~半透明~ 一話
シャドウは目を覚ました。
ここはカイセンタウン行きの船の中。
シャドウはベッドの上で目を開け、天井を眺める。
いや、正確には視線の先に偶然天井があっただけだ。
それが天井でなくても、シャドウには同じようなものだ。
ただ、もう一度眠らないための命綱に過ぎない。
だが、何か夢を見ていたのか気持ちが悪い。
その感覚がさらにシャドウを現実へと戻していく。
ヘルゼアス大陸を出発し空き部屋に二人ずつ案内され、
ベッドに寝転がりながら、
波による規則的な揺れを感じていると自然と眠気が襲ってきたのだ。
シャドウと同じ部屋にいたのはマッスルだったが、
シャドウが隣のベッドを見てもマッスルはいない。
シャドウは起き上がって部屋を見渡す。
だが、どこにもマッスルの姿は見当たらない。
すると、隣の部屋から聞き慣れた騒がしい声が聞こえてきた。
シャドウは重い体を起こし、隣の部屋へと向かった。
そして、隣の部屋の扉を開けると殺気が部屋の外に溢れ出た。
シャドウは部屋に入り、すぐさま扉を閉めた。
こんな殺気が通路に溢れ出たら、通りすがる人が死んでしまう。
・・・その殺気の正体は、ラルドとエイリアだった。
部屋にはマッスルやナイツやナイリアもいるが、
部屋の隅で壁に向かってしゃがみこんで頭を抱えている。
そして、ラルドとエイリアはシャドウが部屋に入ってきたところを見ると、少し殺気を抑えた。
シャドウ「・・・何をしているんだ?」
シャドウの声に気付いたマッスルが、シャドウのところへ逃げ込んできた。壁を這って。
マッスル「た、助けてくれシャドウ・・・。
もうちょっとで殺し合いになるところだったんだ!」
マッスルは壁にはり付いたまま言った。
とりあえず、シャドウはマッスルを壁から降ろし、事情を聞いた。
始めはラルドとエイリアが二人で楽しく話していたところ、
その楽しそうな声を聞いて隣の部屋のナイツとナイリアがやってきて、
さらに盛り上がり、マッスルが目を覚まして部屋に乱入。
そして、ラルドがナイツとエイリアが楽しげに話しているところを見て
「エイリアは優しい夫がいていいよねー。」といったところから全てが始まった。
エイリア「いいでしょー。こんな良いパートナー、私以外見つけられないよ!」
ラルド「どうせ私には見つけられませんよー。」
エイリア「そ、そういうつもりで言ったんじゃないよ!ラルドにも良いパートナーが見つかるよ!」
ラルド「・・・だって私、可愛くないし性格悪いし男勝りだし(実力的な意味で)」
エイリア「ラルドは可愛いし性格も良いし・・・そ、それにシャドウとか最強じゃん!」
マッスル「俺だってラルドよりは強いぞ!」
ラルド「マッスルは恋愛対象じゃないし、私より弱いし・・・・・。」
マッスル「orz」
ラルド「シャドウは誰にも恋愛感情抱かなさそうだし・・・。」
エイリア「・・・で、でもまだ分からないじゃん!」
ラルド「いや、私は一生ルゥ・クル(独身)だよ・・・。もうダメorz」
エイリア「・・・じゃあ、お前はなんて言ってほしいの?」
戦闘開始。
といった感じらしい。
そして、それを聞いたシャドウに、エイリアとラルドが返事を待った。
続く