第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 百五話
~レイシアの家~
スーマという名前が出た瞬間、誰もが驚きの表情を二人に向ける。
もちろん、レイシアも驚きを隠せないでいた。
以前はスーマの話題を出したらすぐに終わらされたが、
今回は家の中なのでその話題を否定することなく首を突っ込んだ。
レイシア「と、時の神?それってホント?」
オリとゼアス兵隊長は肯定の言葉を出す。
知識が豊富なゼアス兵出身の二人に言われ、レイシアも言い返せなくなってしまった。
ナイツ「で、でも、アレが時の神のスーマっていう証拠はないし・・・。」
確かに、ナイツの言うことに一理ある。
それでも、ナイツは内心アレは時の神のスーマだと信じ込んでいた。
あの時向けられた気迫、アレは普通のチャオの出せるものではない。
他の仲間達も、あの崖で会ったチャオがスーマだと信じ込んだらしい。
しかし、その中で一人、驚きが薄い者が一人いた。というより、違う方向の驚きのようだ。
マッスル「マジか!スゲェじゃん!俺ら神に会えたんだぞ!」
一人はしゃぐマッスルに、ラルドが困りながら言う。
ラルド「だ、だってマッスル。私達は殺気を当てられたんだよ?」
確かにそうだ。
あの崖でスーマと出会った時、殺気、つまり敵意をぶつけられたのだ。
神が敵なんていう恐ろしいことは他にはないだろう。
マッスル「でもなぁ。なんか悪い奴には思えないんだよな。
ていうか、もし敵だったとしても、どうせ混沌の神も敵なんだから一緒に倒しちまおうぜ。」
何故かマッスルには、スーマに対する恐怖が薄いらしい。
恐ろしい殺気を当てられた事は覚えているのだが、それでも実感が湧かないようだ。
神が敵なのは元々だ。というのはマッスルらしい考え方だろう。
レイシア「・・・なんなんだろね。
あ、この間はスーマの話題切っちゃってゴメンね。
外だと霊がキレるかもしれないからさ。
・・・それより、キミと同じタイプのチャオはスーマに耐性があるのかな?」
シャドウが、今の言葉で不思議なところを見つけ、指摘した。
シャドウ「キミと同じタイプのチャオ?
他にもスーマに恐怖を抱かないチャオがいるのか?」
レイシア「おぉ、鋭いねぇ。
いるよ、カオスィヴっていうスッゴイのが。」
なんと、今度はカオスィヴの名前が出てきた。
もう、仲間達の頭の中は混乱状態だ。
オリとゼアス兵隊長も、スーマとカオスィヴに接点があることに驚いている。
そんな中、シャドウは的確にレイシアに当然の疑問をぶつける。
シャドウ「何故そんなことを知っているんだ?」
確かに、レイシアは普通のチャオが知りえないことまで色々と知っている。
霊に聞いたと言ってしまえばそれまでだが、レイシアにはそれ以外にも何かがありそうな雰囲気なのだ。
レイシア「だって、500年前にカオスィヴとスーマは一緒に行動してたんだもん。」
少し、シャドウも呆れ始めていた。
シャドウ「だから、何故その事を知っているんだ?」
レイシア「あぁ、黙っててゴメンね。僕はカオストの王。レイシア・レイスだよ。」
そして、また場の空気が凍った。
続く...