第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 百一話
~崩壊後 ヘルズ城~
オリはシャドウ達の方を見て、ただ立ち尽くしている。
ラインだけでなく、シャドウ達もそれに気付いてオリに話し掛ける。
シャドウ「・・・どうした。」
オリは重い口を開く。
オリ「・・・俺を殺さないのか?」
オリはシャドウ達が自分に手を出さないのが不思議でしょうがないのだ。
共にヘルズ城までやってきて、交流もそこそこあったとはいえ、最後は裏切った。
それどころか、戦争をヘルズ王と共に動かしてきたのだ。
ヘルズ王と同じことをしてきて、何故自分だけ生き残っているのか。
そんな疑問に答えたのは、マッスルだった。
マッスル「お前を殺したってしょうがないだろ?」
マッスルはごもっともな答えを言うが、オリはそれでも納得いかない。
オリ「俺はケジメをつけなければいけない。
戦争はヘルズ王の敗北で終わったからこそ、俺は居てはいけない。」
オリは真剣な表情でいうが、マッスルには呆れられた表情で返事をされる。
マッスル「ケジメは死ぬとは違うんだよ。
ていうか、償いとしては足りないと俺は思うけどな。」
オリは驚き、マッスルに聞き返す。
オリ「足りない・・・?」
マッスル「そうだな、生きて償い続ければ足りるかもな。」
オリは黙りこくる。
死んでも償いきれない。
だから生き続けてる中で償え。
なんて、オリの頭には全くない考えだった。
オリが思考を巡らせていると、大きな気配がその場に緊張感を作り出した。
シャドウ達もオリも悪寒を感じ、その気配の方を向く。
そこには、倒れたヘルズ王の上に黒いモヤモヤした球があった。
その黒いモヤモヤした球は、ヘルズ王の上でフワフワと漂っていたが、突然オリの方に向かって飛んできた。
オリは魔法力がもうないので、普通の銃を二梃取り出して連発する。
まさか、ミインの未来予知がこんな形で当たってしまうなんて予想だにしていなかっただろう。
黒い球はヘルズ王のオーラ同様弾を飲み込み、オリは黒い球にぶつかりそうになったが、
シャドウがオリを突き飛ばして、なんとか黒い球から避けることが出来た。
シャドウ「何者だ・・・!」
シャドウが敵意を向けると、その黒い球は空高くに飛んでいってしまった。
一瞬の出来事に、何が起こったのかがイマイチ理解できない仲間達だったが、あの黒い球が良くないものであることだけは分かった。
シャドウ「なんなんだったんだ・・・。」
シャドウがそういうと、何処からか謎の声が聞こえ始めた。
「アレは、カオス・ピースです。」
続く