第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 百話
~崩壊後 ヘルズ城~
黒く大きな閃光が、カオス・イレイザーの白く優しい光に飲み込まれている。
その光の美しさは、マッスル、オリ、封印魔法のクリスタルの中で闘いを見ている仲間達、そして、ヘルズ王に感動を与えた。
閃光は、カオス・イレイザーに飲み込まれて消えた。
ヘルズ王「・・・私では届かなかった本当の"消滅魔法"。見事だった・・・。」
力を使い果たしたヘルズ王はその場に倒れた。
終わった。
遂に終わった。
ヘルゼアス戦争は、ヘルズ王の敗北によって終結したのだ。
そして、ヘルズ王が力尽きたことによって、封印魔法のクリスタルは消えていった。
仲間達がシャドウのもとへ駆け寄り、様々な言葉をかける。
勝利の喜びの言葉、一緒に闘えなかったことの謝罪、闘いの凄まじさ、シャドウの強さ、カオス・イレイザーのこと・・・。
だが、シャドウは言う。
シャドウ「みんな、僕のことよりもラルドを治療することの方が大事だ。」
シャドウはラルドとマッスルのもとへ行く。
もちろん、仲間達も同じくラルドとマッスルのもとへと行く。
シャドウ「ラルドは大丈夫だったか?」
シャドウはラルドを見ていたマッスルに言う。
マッスルは笑みを零した。
マッスル「あぁ、しっかり守ったぜ。まだ気を失ってるみたいだけどな。」
すると、エイリアがラルドのもとに近づいて水の魔法をかけた。
傷口はもう塞がりかけていたが、エイリアの回復魔法の効力は凄かった。
傷口は元々なかったかのように塞がり、ラルドのまぶたが少し動き始める。
そして間もなく、ラルドは目を覚まし、ゆっくりと上半身を起こす。
ラルド「・・・あれ?」
ラルドは仲間達に周りを囲まれている状況をイマイチ理解出来ていないようだった。
そんなラルドにシャドウは安心し、状況を説明する。
状況を理解したラルドは、下を向きながら悲しそうな顔で言う。
ラルド「そっか・・・。足引っ張っちゃってゴメンね・・・。」
ラルドは自分が仲間の足を引っ張ったと思っているようだ。
普段、自分の強さを買いかぶらないラルドだが、
やはり心の中では「強い者として仲間達を引っ張っていこう」と思っていたのだろう。
それが、仲間達の足を引っ張ることになってしまって、自分が許せないようだ。
するとシャドウはラルドの頭に手を置いて言う。
下を向いていたラルドは驚いたように顔を上げる。
シャドウ「ラルドがいなくては"僕達"は成り立たないんだ。
誰かが足を引っ張ったなんて僕達にはない。
だから、これからも共に頑張っていこう。」
シャドウのこの言葉は、ラルドだけでなく仲間達にも伝わった。
『誰が欠けても"仲間達"は成り立たない。』
この言葉は、仲間達の中でずっと自信の支えとなっていくだろう。
エイリア「それにしても、シャドウとラルドって恋人同士みたいじゃない?」
そんな中、エイリアが二人を茶化す。
正確には、ラルドをからかったのだろう。
バウス「確かに、似合ってるとワシは思うぞ。」
と、意外なことにバウスが入ってくる。
もう、ラルドがからかわれる空気が出来てしまった。
が、仲間達の後ろに一つの気配。
ラインが振り向くと、そこにはオリの姿があった。
ライン「オリさん・・・・・。」
オリ「・・・・・・。」
続く