第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十九話
~崩壊後 ヘルズ城~
銃声と共に、シャドウの手から槍が弾き飛ばされる。
オリ「ヘルズ王・・・。ここまでやって終わる訳には行かないんだろう?」
オリは、まだ諦めていなかった。
そのオリの表情は先程とは違い、たくましさを感じさせるものになっていた。
ヘルズ王「オリ・・・。」
ヘルズ王もまた、そのオリの姿を見て少しずつ正気に戻っていった。
それを見ていたシャドウは、戦意を解いてヘルズ王に言う。
シャドウ「ヘルズ王・・・。貴様の信念が本気ならば、僕も本気で受けて立とう。」
ヘルズ王はシャドウの顔を見て、ゆっくりと立ち上がる。
ヘルズ王「・・・今は、プライドも何もない。お前と戦わせてもらおう。」
ヘルズ王はオリのもとへ行く。
オリはヘルズ王を見て安心し、ヘルズ王に言う。
オリ「俺はヘルズ王の望みの力になりたい、と思っている。
だから、これはヘルズ王が決着をつけてくれ。
・・・コレは、ヘルズ王に贈る俺の最後の敬意だ。」
オリは、自分が持っている魔法力の全てをヘルズ王に注いだ。
オリの魔法力は戦闘前のヘルズ王と同じくらいの量だ。
今のヘルズ王の魔法力は、完全に本気が出せる状態になったのだ。
ヘルズ王「・・・いや、私も世話になった。礼を言わせてくれ。・・・ありがとう。」
オリはヘルズ王から離れる。
最後の別れは、ヘルズ王を気遣った形となったのだ。
「悲しいが、悔いはない」とオリは思った。
ヘルズ王もオリも分かっているのだろう。
ヘルズ王はシャドウに勝てない。
だからこそ、オリはヘルズ王に悔いを残してもらいたくない。
本気を出し切って、負けて欲しいのだ。
ヘルズ王も、夢に向かっていったことを後悔していない。
そして、まだ夢に向かっていくことをシャドウに認められた。
自分のために全てを捧げてくれたオリのためにも、ヘルズ王はまた向かっていく。
ヘルズ王はシャドウと対峙して、考えを一気に変える。
「私は勝つ」と。
ここでの勝利がなければ、ヘルズ王の夢は叶わないものとなるからだ。
ヘルズ王「シャドウ・ザ・スピード。
私の生涯で、一番強い敵だった。
だが、ここで消えてもらおう・・・。」
ヘルズ王は両手を前に突き出し、全魔法力を集めている。
そして、何を言っているかは分からないが詠唱をする。
おそらく詠唱は、消滅魔法をより完成に近い形で発動するためのものだ。
そして、シャドウも詠唱を始める。
この時のシャドウの魔法力は、エイリアをも超える程だろう。
ヘルズ王「行くぞ。」
シャドウ「あぁ。」
そして、ヘルズ王の今までで一番の大きな閃光と、
シャドウの白い光で全てを消す魔法、カオス・イレイザーがぶつかりあった。
続く