第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十八話

~崩壊後 ヘルズ城~

シャドウはその技を破るべく、ヘルズ王に意識を集中する。
自分を中心に、ヘルズ王の反対側にはオリがいるが、
シャドウにとって銃はそれほど脅威ではない。
オリは撃つ瞬間、先に殺気が伝わってしまうのだ。
シャドウのスピードであれば、その殺気を感じた後に動いても銃弾は当たらない。
いや、集中力を高めているシャドウから溢れる気は銃弾をも弾くだろう。
それが分かっているシャドウは、ただただヘルズ王に意識を集中する。

そして、最初に行動を起こしたのはオリだった。
黒い銃を撃つ。が、殺気が伝わってこない。
それもそのはず、オリが狙ったのはヘルズ王だったのだ。
シャドウは避けるまでもなく、自分の横を銃弾が通ってヘルズ王に当たるのを見た。

オリがヘルズ王を裏切った、という考えも思い浮かんだが、
次の瞬間、その考えは儚く消えてしまうのだった。

黒い銃から放たれた銃弾は、ヘルズ王のオーラに飲み込まれる。
だが、黒い銃から放たれる引力を持つ銃弾は飲み込まれても尚、効力を
発揮するのだ。
周りのガレキが、次々とヘルズ王に吸い込まれていく。
マッスルはラルドを片腕で抱いて地面にもう片方の拳を突っ込み、へばりついている。
もちろん、吸い込まれるのはシャドウも同じことだった。
突然の引力に成す術もなくヘルズ王の方に吸い込まれていくシャドウ。
それに対してヘルズ王も自らシャドウに接近し、電気を片手に纏う。
ヘルズ王の電気を纏った手は、シャドウの首と手足の付け根を突き、シャドウを麻痺させた。
そして、ヘルズ王は分身をシャドウのところに残して上空に飛び上がる。

すると、ヘルズ王の分身は凄まじい電気を纏ったかと思うと大爆発を起こし、シャドウを上空に吹き飛ばした。
元々、引力を持ったヘルズ王が上空にいるので、シャドウが上空に飛ばされるスピードは凄まじかった。
そして、本物のヘルズ王は落下してきながら電気の剣を振りかぶる。

ヘルズ王「『天下・弐割』!」

ヘルズ王の電気の剣が、シャドウを一刀両断する。

ヘルズ王は着地し、勝利を確信する。
技の終わりと共に、引力もなくなり、勝負も終わった。

ヘルズ王「クク、終わったな。」

ヘルズ王はオリの方を見て、その勝利を分かち合おうとするが、
オリは到底、そのような表情には程遠かった。
驚愕。まさにそれだった。

そして、ヘルズ王は頭に後ろに突きつけられた槍の存在に気付くのだった。

シャドウ「終わり・・・。そうだな。終わりにしようか。」

その言葉を聞いて、オーラで顔は見えないがヘルズ王もオリと同じ表情をする。

ヘルズ王「な・・・何故だ・・・。」

シャドウ「見せた技のはずだが?カオス・シャドウという技を。」

そう、シャドウは電気の剣で切られるその瞬間、カオス・シャドウを使って技を回避したのだ。

ヘルズ王「い、いや、それでもあの爆発のダメージはあるはずだ!」

ヘルズ王は今起こっている現実を必死に否定する。
だが、シャドウは淡々と事実を話す。

シャドウ「貴様の分身の全力程度で、僕にダメージを与えられると思っていたのか?
     いや、貴様自身の全力でも大したダメージにはならないだろう。」

ヘルズ王は言葉と共に戦意を失う。
今、後ろにいるシャドウ・ザ・スピードはどうしようもなく強いのだ。
ヘルズ王の力では遠く及ばない程に。

シャドウ「・・・そろそろ終わりにしようか。」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第330号
ページ番号
181 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日