第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十七話
~崩壊後 ヘルズ城~
再び始まった戦い。
最初の戦いと違うところは、何よりもその数だろう。
始めは4対1だったものが、今は1対2となっている。
そして、仲間であった者が敵になったという精神的ダメージもある。
それでも尚、シャドウは一人で戦うと言ったのだ。
マッスル「俺が必要になったら言ってくれよ!」
ラルドのそばにいるマッスルはシャドウに呼びかける。
シャドウは槍をあげるジェスチャーで返答をした。
そして、そのまま槍を地面に突き刺す。
それが、戦闘開始の合図だった。
最初に動き出したのはヘルズ王だった。
ヘルズ王はシャドウの方に走り出す。
両手には雷がバチバチと音を立てている。
シャドウはそれに対し、地面に突き刺さっている槍に気を込める。
すると、シャドウの周りの地面は爆発し、ヘルズ王の足を止めた。
それに加え、砂埃が舞ってシャドウの姿を見失う。
シャドウは持ち前のスピードでヘルズ王に接近しようとする。
が、オリはそれを銃を連発して阻止した。
オリの目にはシャドウの姿が捉えられているのだ。
シャドウは銃弾を上手く避けながらもオリに急接近する。
オリは銃を連発するが、シャドウには当たらず接近を許してしまう。
だが、シャドウがオリに槍を突き刺そうとすると、ヘルズ王の雷が上から落ちてきた。
シャドウは槍を突く方向を上に変え、雷を割った。
それと同時に、前蹴りでオリを吹き飛ばす。
シャドウ「自然の雷の方がよほど凄まじいと思うが。」
シャドウはヘルズ王の方を向いて挑発をする。
だが、実際それは当たっているのだ。
所詮、生き物が使う雷の速度というのは、使用者の魔法力にかかっているのだ。
いや、そもそも魔法の雷というのは、雷ではないのだ。
魔法の雷というのは、魔法力を雷に似せて使用者が操るもの。
火の魔法、水の魔法なども同じだ。
そんなものが、あの自然の雷に勝るわけがない。
だが、そんな分かりきっていることにも関わらず、
ヘルズ王は憤りを見せ、シャドウに向かって雷の魔法を手から放つ。
シャドウは槍を前に突き出しながらヘルズ王の方へと走る。
雷は槍によって割られていき、ヘルズ王に接近する。
そして、後ろから銃声が聞こえた。
シャドウは予想していたのか、すぐに横っ飛びで銃弾を避けた。
銃弾はヘルズ王に当たるが、黒いオーラに飲み込まれて消えた。
ヘルズ王「グ・・・なんて身体能力だ・・・。」
ヘルズ王は自分の技がシャドウに通じないことに憤りを感じているようだ。
だが、そんなことは関係ないというように、シャドウは余裕の表情を見せる。
オリ「ヘルズ王、アレをやろう。
シャドウに普通の攻撃が通じないことは俺も分かってる。」
ヘルズ王「・・・そうだな。」
そういうと、シャドウを挟むようにして立っていた二人の雰囲気が変わる。
オリは黒い銃を取り出し、ヘルズ王は雷で作られた剣を持つ。
そして、ヘルズ王は足を少し開いて、剣を片手で足の間におろし、シャドウの方を見る。
シャドウ「これは・・・。伍星・弐割か。いや、ただの伍星・弐割ではないな。」
ヘルズ王「この技は実際、私の必殺技でもあるのでね。"また"私の技の餌食になってもらおう。」
シャドウ「・・・いや"今度"は僕が勝つだろう。受けて立つ。」
そして、その場には緊張感が漂う。
その戦いを見ているマッスルにも緊張感は伝わり、息を飲ませる。
ヘルズ王「行くぞ・・・・・!」
続く