第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十五話

~崩壊後 ヘルズ城~

シャドウが振り向くと、額に何かが突きつけられている。
それは黒く、金属で出来たもの。そして、トリガーに何者かの指がかかっている。

状況を少しずつ飲み込めながらも、
未だ信じられないといった表情でシャドウは思う。

—何故。

頭の中に浮かぶ、色々な疑問の言葉。
言葉は意味を持たず、ただただ頭の中を漂う。

そして、トリガーにかかった指に力が込められた瞬間、シャドウは我に返った。
トリガーが引かれる前に、体の気を周りに放出する。
その銃を持っていた者と、マッスル、ラルドがシャドウを中心に吹き飛ぶ。

吹き飛ばされたマッスルは、何が起こったのかとシャドウを見る。
そのシャドウの目線の先には、
起き上がり、銃口をシャドウに向けるオリの姿があった。

マッスル「お、オリ・・・。お前バカか・・・?」

すると、オリの後ろに回復したヘルズ王が立つ。

ヘルズ王「バカはお前達の方だ。」

そして、オリはシャドウに向かって銃のトリガーを引く。
シャドウは銃弾を避け、ヘルズ王を睨みつける。

シャドウ「どういうことだ・・・!」

ヘルズ王は、オリの肩をポンと叩く。
そして、オリは一歩前に出て言う。

オリ「・・・俺は、お前らでいう敵に当たる存在だ。」

オリの口から告げられる、単刀直入な「俺は敵」という言葉。
オリの後ろにはヘルズ王。そしてその言葉。
もう、オリを味方と信じられる要素がなくなってしまったのだ。

それでも、シャドウ達は納得出来ない。
何故、今まで共に行動していた者が敵だったのか。
何故、ゼアス兵となりすましていたのか。
何故、ヘルズ王と手を組んでいるのか。
疑問がありすぎて吐き出せないシャドウ達に、オリが言葉をぶつける。

オリ「もう一度言う。俺はお前らの敵だ。
   その事実だけ見ろ。この後、闘うことは分かっているんだろう?」

シャドウ「あぁ・・・。だがそれでも、全てを聞かせてもらおうか。」

シャドウは、初めて敵意をオリにぶつける。
それを見たオリも笑みを零し、言う。

オリ「そうだ、それでいい。代わりに教えてやろう。全てをな。」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第329号
ページ番号
178 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日