第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十四話
~崩壊後 ヘルズ城~
ラルドは前向きに力なく倒れた。
マッスル、オリが駆け寄ろうとするがシャドウがそれを止める。
シャドウ「行くな!ヤツはまだいる・・・!二人はそっちをどうにかしてくれ!」
そっち、というのは先程まで話していたヘルズ王のことだ。
そのヘルズ王はシャドウ達の方を見て嘲笑を見せる。
するとオリが銃を取り出し、それをヘルズ王に向かって撃つ。
その銃から放たれたのは赤い閃光。
閃光は凄まじい速さでヘルズ王に向かっていく、相変わらず黒いオーラに飲み込まれてしまう。
だが、その間にもヘルズ王の後ろにマッスルが回り込む。
ヘルズ王の「魔法は避けなくて良い」と思考を逆手に取ったのだ。
ヘルズ王は魔法を受けている間は、動こうとしない。
マッスル「うぬぼれんなよテメェ!」
マッスルは、渾身の力でヘルズ王を殴り飛ばす。
だが、そのヘルズ王は、黒い粉となって消えていった。
マッスルとオリは驚いた。
そう、本体と思っていたヘルズ王は実は分身だったのだ。
つまり、先程ラルドを閃光で貫いたのは—。
マッスルとオリがシャドウの方を向くと、
カオスレイと雷が激しくぶつかり合っていた。
二つは相殺されるが、すぐさまシャドウはヘルズ王の懐に入って蹴りを入れる。
蹴りを入れられ吹き飛ばされたヘルズ王は、透明化が解けて姿を現した。
ヘルズ王「グ・・・。なんという強さだ・・・。」
ヘルズ王はヒザをつき、咳込む。
ダメージはかなり大きいようだ。
そして、その間にシャドウはラルドのもとへ行く。
ラルドは気絶していた。そして、シャドウは水の回復魔法をかける。
とは言っても、肩を貫かれているのだ。そう簡単には治りそうもない。
すると、隣から魔法の苦手なマッスルが水の回復魔法をかける。
シャドウ「マッスル・・・。」
マッスルは自分が持っている魔法力を全てラルドに注ぎ込む。
マッスル「この程度の魔法なんか使えてもしょうがないと思ってたけど、
俺の全てを注げばそれなりにはなるよな・・・。」
ラルドの傷は少しずつ塞がり始めた。
このまま行けば、外傷は治りそうだ。
しかし、体内を傷つけられているので、すぐに完治は難しいだろう。
それでも、二人は回復魔法をかけ続ける。
頭で考えることもなく、ただ本能的に目の前の一人の仲間を助けたいのだ。
回復魔法をかけているシャドウが後ろに何かを感じ、
ふと後ろを振り向いてみると信じられない光景が広がっていた。
続く